金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「柴田元幸先生の素晴らしさに打ちのめされる」(2016年10月)

柴田先生のセミナーに参加するのは3回目だが、過去2回は朗読会と対談で、「翻訳」そのものを扱った、お勉強に近いセミナーは初めてだった。
最高でした。
ノートは別に書いて公開するつもりなので、大ざっぱな印象をいくつか。

1. 金子靖先生は、ほぼ柴田先生の翻訳のやり方を引き継いでおられることが確認できた。
時制の考え方、擬態語のとらえ方、「・・・し始める」の省略など、金子先生が授業で何度も繰り返されている翻訳技法を、「いろいろな考え方はあると思いますが、僕はこうしている」となぜそうしているのかについて、ご自分の考え方を説明してくれた。昨日参加した金子教室の現元生徒の皆さんは実感し、安心したのではないか(別に今までの金子先生を信用してないってことじゃありません。あしからず)。柴田先生の翻訳の授業なんてめったに受けられないが、金子教室は毎月ある。要するに、柴田先生の授業を毎月受けられるようなものだと思った。

2. 生徒の目線に立った謙虚な姿勢に感銘を受けました。
上に書いたように、「自分はこうしています」「私の体験だと・・・これがベスト」とはおっしゃるが、いわゆる(自分が「先生」と呼ばれないと不機嫌になるような)「大先生」がするような「これはこうなのです!」的な押しつけが一切ない。質問に対するお答えは、最後に「・・・これでお答えになっていますか?」と相手の目を見て尋ね、うなずきを確認してから次に進む。セミナーが終わった後、宴会場までの道のり、ふと気がつくと後ろを歩いていらっしゃるという存在感のなさ(ヘンな意味ではありません)、宴会場ではアルクの佐藤さんにわざわざ「なるべく皆さんと話したいので、席をいろいろ移らせてほしい」とお申し出になる心遣い等々、人として見習いたいと思った。

心から、行って良かったと思うと同時に、翻訳勉強会、真面目に取り組まなければとあらためて心に誓った次第。


(余談)ちなみに私は、テキストの原本を一昨日に100円(プラス送料)で買いました。ラッキーであった。

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