金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

ティール組織

グリーン組織に傾きかかった頃

今思うと、あれは私のいた会社が「多元型<グリーン>組織」になりかかった瞬間ではなかったか。 1997年、N證券が総会屋がらみの不祥事で社長が交代した折、各営業店の予算が廃止された時期があった。「あの」N證券でだ。 支店長の人事評定も人事部から切り離…

本当の目利き ー 『ティール組織』(原著)を発見した人

今月初めにJ社Oさんをお食事にお誘いした。 元々『ティール組織』の原書を発見し(著者は自分で作った出版社で原著を出しているので、ほぼ自費出版。したがって出版直後はほとんど注目されていなかった)、「鈴木さんどう?」と言ってくれた編集者だ。 Oさん…

書店に置いてもらった本、置かれるようになった本(2018年1月)

以下は、つい2時間ほど前の、今晩の夕食時の会話である。 「ほい、これが見本。おじいちゃんの仏壇にお供えしよう」「わ~、スゴいわねーお父さん、表紙がきれいじゃない!」「だろ?」「しかもとても厚いのね・・・」「ま、まあな。なんたってお前、2年半だ…

『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』

発売まで1カ月先ですが・・・ 訳書としては15冊目(共著、名前の出ない本も含みます)が出ます。 『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』 フレデリック・ラルー (著), 嘉村賢州 (解説), 鈴木立哉 (翻訳) ・経営者、経営幹部、経営企…

ABD(Active Book Dialogue)の衝撃(2017年11月)

昨日、某出版社の会議室でABD(Active Book Dialogue)と呼ばれる勉強会に参加した。参加の理由は、今度出版される訳書の再校ゲラがテキストになったからだ。 衝撃的だった。これだけの衝撃を受けた勉強会はもう何年もなかったかもしれない。 ABDとは、参加…

本文の訳だけで643時間(2016年11月)

昨年10月から始めて6月末の予定が4カ月と1日延びて本文校了。643時間ですよ、643時間。 本が出るまで一銭にもならず、出たからと言ってヒットするとは限らない(ヒットしない可能性の方が高い)643時間。しかもまだ終わっていない。キツかったー。かなり難解…

講演における「良い質問」、「悪い質問」(2016年9月)

秋は講演会のシーズンです。 私は(今年を例外にすれば)もっぱら聞き手というか聴衆側にいることが圧倒的なわけですが、長年、聞き手として、あるいは質問者として数々の講演会や勉強会に参加して、経験的に次のようなスタイルの質問を「良い質問」「悪い質…

「編集者のコメントにホッとする」(『ティール組織』を訳し始めた頃)

昨日も1日中仕事。今日から実務が再び忙しくなるので、1日中遅れている本の翻訳。夜、その担当編集者からメール。 「素読みですので全体的な観点になりますが、さすが、とても素晴らしい文章で訳されていると感じました。事例が活き活きと読みやすく描かれて…

「目利き」との残念会(『ティール組織』がJ社の企画会議で落ちた頃)

2ヶ月ほど前にリーディングの無茶振りをされて40時間かけて出した話を書いたのだが、それを僕に振ってきたのがOさん。Oさんやる気満々で「企画通します!」と言っていたのが・・・何と社内の企画会議で否決されてしまったのだ。「す、スミマセン」と絞り出し…

「きれいごと」だからこそ成功する

昨日、NHKのプロフェッショナルで知った鎌倉投信の新井さんの『投資はきれいごとで成功する-』が届く。 本を手に取り、書名を改めて見て「あっ!」と思った。『世界でいちばん大切にしたい会社』の書名「きれい事の経営-コンシャス・カンパニー』にしとき…

本の進捗(『ティール組織』の翻訳②、ほか)

某出版社へ「予定より4カ月遅れの目処」とのメールを打つ。毎月経過報告をしており、先方も僕がそこそこ忙しいことを理解しており特に驚きはないとは思う。きちんと報告しているのでご心配なくとも言われているが、そうはいっても心苦しい。仕事に手を抜いた…

産みの苦しみ(『ティール組織』の翻訳)

3月29日(火) おはようございます。 [昨日の自分]起床:3時10分体重:77.6kg、体脂肪率21%、体脂肪量16.3kg前日比: -0.8kg、-3%、-2.5kgピーク:体重は79.0kg(3/6/16)脂肪量は19.9kg(12/7/14)間食:和菓子2個運動: スクワット90回、ウォーキング2.4…

「気がかりだったこと」(2015年12月2日:『ティール組織』裏話)

実務翻訳に忙殺され、その合間に書籍が出てという大きな波が一応収束したのだが、僕の心にはここ2ヶ月ずっと引っかかっている事があった。 訳書2冊に手が着いていないということである。 「2冊」と言っても1冊は今年1月に校了し、出版社の事情で延び延びにな…

『ティール組織』リーディング依頼⑥

(前書き的な後記:以下の文章の「P社」とは最初に『ティール組織』のリーディングを依頼してきたJ社、「L社」とは英治出版さんのことです:2021年8月21日記) 午後にP出版社のKさんから電話。「鈴木さん、あの本にビッドが入ったとエージェンシーから…

リーディングを納品する(『ティール組織』リーディング依頼⑤)

先月中旬に無茶振りされた(と思っていた)Reading、結局会議の都合でGW後に延びた昨日納品した。所要時間39時間。A4で9枚。報酬が2万円なので時給511円。この社は翻訳が決まってもReading料が支払われるが、「本になったらReading料は印税に含めます(つま…

リーディングで悩む(『ティール組織』リーディング依頼④)(2015年4月)

リーディングを頼まれている本を読み終えて悩んでいる(会議が1回ずれたせいで締め切りが伸びて余裕ができた)。 筆者の信念も志も素晴らしく、経営者の目指すべき正しい方向を目指していると思うのだが、やや観念的に過ぎるのではないか?果たしてこれを訳…

翻訳期間(予定)を引き延ばしてもらう(『ティール組織』リーディング依頼③) 

企画が通ったら私が翻訳を担当する前提でのリーディングの仕事を受ける。仕事を受けるに当たって編集者の方にまず電話。「仮に私が翻訳することになったら何カ月ぐらいを想定されているでしょうか・・・?」「そうですね、3ヵ月ぐらい」。やっぱり 「それは…

「気合い入る」(『ティール組織』リーディング依頼)②

「○○社のOです。ちょっとご相談したいことが・・・」 一昨日私にリーディングの無茶振り(でもちゃんとフォローをしてくれました)をしてきた編集者のOさんだ。ま、まさか来週火曜日の締め切りを日曜日にしてくれというんじゃないだろうか、とおそるおそる電…

スケベ心に負ける(『ティール組織』リーディング依頼を受けた時) ①

どうしようもなく忙しいのに仕事を受けてしまうことがある。(1)断れない先のとき、(2)「どうしても!」と頼まれるとき、(3)こっちにスケベ心があるとき。 昨日は(3)のケースだ。 某社の編集者Oさんから電話。「鈴木さん、お久しぶりです!」「…

出版翻訳者の皮算用(2014年3月12日)

書籍が一通り終わって大事なことを聞いていないことに気づく。即編集者に電話。「スミマセン、印税の基礎となる初版の部数は何部になるのでしょうか?」「あ、まだ決まってないんです。来週正式に決まります」(じぇじぇじぇじぇじぇ!)「で、だいたいどれ…

Reading 終了(後記:『世界でいちばん大切にしたい会社』のReadingでした)

昨日は午前に1件実務翻訳を納品した後、午後いっぱいかかってReadingのレポートの仕上げをした。 期間は1ヶ月(でもなるべく早くとは言われていた)。250ページの本を2回熟読してレポートを書いたら40時間。本になれば印税。本にならなければ報酬1万5000円と…

サラリーマンの殻の厚さ

先日、同世代のサラリーマン(役員を退任したところ)と話していて痛切に感じたのだが、サラリーマンの皆さんは僕ら自営業者よりも自分の「素(本音)」から遠いところで他人と接する傾向が強いと思った。 誰でも他人には話したくない殻があるものだが、サラ…