金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

リーディングを納品する(『ティール組織』リーディング依頼⑤)

先月中旬に無茶振りされた(と思っていた)Reading、結局会議の都合でGW後に延びた昨日納品した。所要時間39時間。A4で9枚。報酬が2万円なので時給511円。この社は翻訳が決まってもReading料が支払われるが、「本になったらReading料は印税に含めます(つまり支払われない)」という会社もある。これってやはり「修行」とか「勉強」とかいう域を超えていると思う。「だったら受けなきゃいい」と言い切れるほど僕の立場は強くない。チャンスがあれば生かしたい。自分の訳書が出せるのならReadingは必要経費、と自分を納得させている(もっとも、晴れて出版に至ったとしてもあまり売れないので結局そちらも必要経費になってしまうんですがね)。つまりこれで受けちゃう人間がいるから発注側もその条件を出すわけだ。翻訳単価の低下傾向に通じる現象なんだろうねえ。

ちなみに僕がこの仕事についてもっとも時給が少なかったのはJTFの講師をした9年前。2時間半の講義で確か報酬は2万円(もう昔なので1万5000円だったかも)。宴会費用は連盟持ちだったのだが、この時の準備には60時間かかった。普段話慣れていないのでリハーサルも3回ぐらいしました。つまり(2万円だとすれば)時給は333円という計算になる。ただ、こちらは「講師をしました」という実績にもなるし、勉強、営業費用、勤労奉仕だと思って割り切りましたが(ただその半年後にやったJATは無報酬で、しかも自分で参加費を払ったんだからJTFの方が条件はよかったことになります)。

(後記)結局この企画会議を通らずに英治出版社さんに持ち込んだ話は何度も書きました。ちなみに翻訳にも時間がかかり1000時間以上かかりました。初版印税を元にして計算した時給は600円ぐらいだったと思います(お陰様で本書は売れたので時給はその後どんどん上がっていきましたが(感謝))(2021年5月5日記)。

リーディングで悩む(『ティール組織』リーディング依頼④) - 金融翻訳者の日記