金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

2018-01-01から1年間の記事一覧

二つの気づき:小竹貴子×阿部裕志「みんなで語ろう、私の組織論」に参加して

7日に英治出版で行われた小竹貴子さんと阿部裕志の対談「みんなで語ろう、私の組織論」ーー英治出版オンライン連載「『ティール組織』私はこう読んだ。」に参加した。 素晴らしいセミナーでした。 とても暖かい雰囲気の中で、普段経営にあたって楽しみや苦し…

自分(翻訳者)のド勘違いを反省する(2018年5月30日)

昨日知り合いの経営者Kさんにある用向きがあって1年ぶりにメールし、その末尾に『ティール組織』を出したことを添えておいた。すると今朝返事が来て 「『ティール組織』を訳していたの鈴木さんだったのですか!人事組織関連では話題の書で当社でも何人もの役…

翻訳者の履歴書(2018年5月)

去年から今年にかけて、仕事で10通近くの(職務)履歴書に目を通す機会があった。そこで気がついたことを二つ。 1.8割がワード、2割がPDFだった。2.パスワードをかけてきた人が二人いた(パスワードは別メールで送られてきた)。3.PDFでパスワードをかけ…

交渉なしで単価がアップした話(真面目にやっていればこういうこともある、ということで)

昨日某社からメール。発注内容の説明とともに「なお5月納品分から翻訳単価を〇〇円にさせていただきます。少額のアップで恐縮なのですが、よろしくお願いいたします」とのメッセージ。これまで単価アップ交渉をして上げてもらったことはあるが、こっちが頼ん…

出版翻訳幻想その2 ー 出版翻訳の怖さ 

出版翻訳についてあと2点(経験者の方はよくご存知の話だと思います)。 1.今やっている仕事が金になるのは(訳し始めてから、僕の場合早くて)1年後。 1 月に出た『ティール組織』の初版分の印税が支払われたのが3 月。 ここだけ見ると「支払いサイトが2…

出版翻訳幻想その1 ー 出版翻訳の入り口 

「書籍の翻訳って5万ワードから10万ワード(ちなみに『ティール組織』は約13万5000ワード)をお一人に任せるので、どうしても経験者を優先せざるを得ないんです」と先日飲んだOさんは仰っていた。 だから現実問題として、出版翻訳経験ゼロの人がいきなり1…

致命的なミス(2018年5月)

*以下は、ある「事件」が起きる前、直後、2時間後の出来事である。あまりにもくだらないので、お忙しい方はスルーを願いたい。 その1.本日は「嫁のいぬ間の」なんとやら、西葛西駅前にある「からし屋」で「背脂たっぶりラーメン」を食べ、ついでに30分以…

出版翻訳の孤独とお金(出版翻訳の入り口②)

出版翻訳についてあと2点(経験者の方はよくご存知の話だと思います)。 1.今やっている仕事が金になるのは(訳し始めてから、僕の場合早くて)1年後。 1 月に出た『ティール組織』の初版分の印税が支払われたのが3 月。 ここだけ見ると「支払いサイトが2…

出版翻訳の入り口(と下訳について)(2018年5月)

「書籍の翻訳って5万ワードから10万ワード(ちなみに『ティール組織』は約14万ワード)をお一人に任せるので、どうしても経験者を優先せざるを得ないんです」と先日飲んだOさんは仰っていた。 だから現実問題として、出版翻訳経験ゼロの人がいきなり1冊を…

無理しない

出会った言葉:「お父さん、昨日から今日まで一度も『忙しい』って言わなかったね。(「そうだったかな?」)そうだよ。アタシ、それだけで心がホっとする。救われたような気分になるの。どうもありがとう」(昨日、妻より) (後記)3年前に比べるとこうい…

編集者も翻訳者とおんなじ

出会った言葉:「時間がない」と感じるのはあなたの勘違い。まずは「忙しい」と言うのを完全に止めてしまおう。(『週40時間の自由をつくる 超時間術』メンタリストDaigo著 実務教育出版より) 『ティール組織』を僕に紹介してくれたOさんへのお礼食事会(実は…

飜訳会社の延長線上にソースクライアントはいない(2021年4月26日)

昨日電話で話したある翻訳志望者の方は「翻訳会社とのつながりを広げ、深めていくとその先にソースクライアントがある」という誤解をされていたがそれはあり得ない。ソースクライアントは、自分で開拓、つまり営業活動をしないとという話をした。 飜訳会社を…

『ティール組織』の翻訳について語る会

昨日は、昨年来『ティール組織』関連の勉強会やパーティーでお会いした 半田 志野 さん(NPOの組織基盤や会計のサポート フリーランス)と 榎吉郁夫さん(株式会社ライフスタイルイノベイション 代表取締役)の御発案による「『ティール組織』翻訳者鈴木立哉…

営業日誌(2018年4月)

皆様、昨日の「ちょっと自慢:家計簿32年」の書き込みに暖かいコメントありがとうございました。我が家はここ数年段階的に震災対策をしてきたのですが、唯一残っているのが「今大地震が起きたらお父さんは間違いなく落ちてきた本で死ぬ」と呼ばれている私の…

我が家のプチ自慢

本日、我が家には結婚以来32年間のすべての家計簿が残っていることが判明しました。しかも同じ業者の同じ型番の家計簿。 あと200年ぐらいしたら歴史的資料「翻訳士の家計簿」になるかも! (余談)ちなみに結婚後のサラリーマン時代の給与明細書もすべて残っ…

文芸翻訳の難しさ

今この瞬間に僕が訳している経済(市場)レポートについて、僕は歴史的背景も世界情勢もちゃんと分かって、その中の一部としてこの文章も表現も捉えられている。 したがって文章を読めばそこで言いたいことをほぼ正確に分かるし、かつ表現の機微も読みとった…

自分にできないはずがない

最近の勉強会から:柴田元幸先生(64歳)は毎晩寝る前に英語の原書を70ページ読んでいる。松本道弘先生(78歳)は毎週欠かさずEconomist誌を読み通している。 自分にできないはずがない。

書籍広告のイノベーション

私がABDに参加した時、嘉村さん(『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』の解説者でABDの伝道者)は「ABDで唯一問題があるとすれば、本を裁断しなければならないことです(そうしないと参加者全員が本を買わなければならなくなり、読…

出版社はどこまで本気で出版翻訳者を育てる気があるのか?

2018年3月10日付け日本経済新聞読書欄「活字の海で」27面は「非英語圏の翻訳者どう確保 コンクールで新人発掘も」は、視点は面白かったが新味がなかった。 タイトルから想像される内容だが、最後の段落だけ引用する。 (以下引用) こうした中、新たな動きも…

出版翻訳は「趣味」(2018年3月)

先日、実務翻訳者が集まる会合があって、その席で、「鈴木さんは実務翻訳と出版翻訳の(時間)のバランスをどう取っているのですか?」という質問を受けた。 「取っていません」と答えた。 「僕は食うためにまず実務翻訳に時間をかけます。それで余った時間…

「リーダーを育てる」が学校の教育目標?

昨日の勉強会後の飲み会でのこと。 勉強会のテーマが「1968年」だったからかな、その流れで中等教育の目的てな話題になった。飲みながらこんな話になった、というか酔っ払った勢いでこんな話をぶった。 「『将来のリーダーを育てる』を教育目標にしている学…

独立して気がつくこと(フリーランスになるってことはさ・・・③)(2018年3月)

30年以上サラリーマンをやってきた友人が会社を辞めて自営業者になる。その彼が「最近自分がケチになったような気がする」と。 「コスト意識が芽生えただけではないか?」と指摘したら深く頷いていた。

「頑張るしかない」(2018年3月19日)

一昨年の村井章子さん、昨年の土屋政雄さんの講演会を振り返って思うお二人の共通点の一つは、 余裕を持って悠然と仕事をしているようには見えなかった、ということだ。 村井さんは確か昨年5月の連休後から8月(だったと思う)の講演会まで一日も休みがなく…

参加したセミナーの圧倒的な熱気に焦る

昨日出席したセミナー、僕が普段出ている勉強会やセミナーとまったく違う刺激がありました。その特徴だけメモ的に。 1.若い人たちのエネルギーに満ちあふれていた。 講師の嘉村さん、佐宗さん(お二人とも確か36歳)、ファシリテーターの入山先生(たぶん46…

AIは小説を書けるが小説の解釈はできない(2018年3月3日)

おはようございます。 出会った言葉:「私はあなたが好きです」という文がある場合、AIにとっての「意味」はこの文が真か偽かだけだという。しかし、人間はこの短文にさえ、様々なニュアンスを見いだせる。(「AIVS教科書が読めない子どもたち 新井紀子…

「機械(ソフトウエア)ができることは機械にさせた」利益は顧客に還元しなくてよいのか?(2018年3月3日)

「機械(ソフトウエア)にできることは機械にさせる」という考え方には僕も反対しない。「てにをは」や誤字脱字のチェック、同じ用語を使わなければならないところにその用語を使う。長い単語の打ち込みを省略する、等々だ。 もちろんそれを機械にさせること…

自分は子どもからどう見えているのか?(2018年2月28日)

おはようございます。 出会った言葉:本日は「リアル」2題。誰もが未来を見通せないから、言葉に詰まったり、表情が曇ったり、行動に迷いが出たりする。人生のリアルはその不確定にある。(「折々のことば」本日付朝日新聞より) 眉間にしわを寄せて涙を流し…

グリーン組織に傾きかかった頃

今思うと、あれは私のいた会社が「多元型<グリーン>組織」になりかかった瞬間ではなかったか。 1997年、N證券が総会屋がらみの不祥事で社長が交代した折、各営業店の予算が廃止された時期があった。「あの」N證券でだ。 支店長の人事評定も人事部から切り離…

本当の目利き ー 『ティール組織』(原著)を発見した人

今月初めにJ社Oさんをお食事にお誘いした。 元々『ティール組織』の原書を発見し(著者は自分で作った出版社で原著を出しているので、ほぼ自費出版。したがって出版直後はほとんど注目されていなかった)、「鈴木さんどう?」と言ってくれた編集者だ。 Oさん…

TOEIC:30年ぶりの受験で学んだこと(4年前の今日)

鉛筆は削りすぎない。理由:尖っているとマークを塗りつぶすのに余計な時間がかかるから(息子からのアドバイス)。実際に受験して、時間勝負のTOEICではかなり重要であることを実感。