昨日の記事で明らかにした、生成AI翻訳の構造的欠陥にどう対応すべきか。翻訳者の立場から、ひとつの具体案としてプロンプト例を提示します。ご参考まで。
(プロンプト案)
アップロードされた英文および既存の日本語訳を精読し、その文脈を踏まえた上で、以下のいずれかの作業(翻訳/訳文の評価/訳文の修正)を適切に実行せよ。
■ 作業条件(事前準備と整合性維持)
既存の日本語訳文で用いられている語彙・文体・言い回しを精読し、それに厳密に準拠すること。
新たに訳す箇所や修正箇所でも、既存訳文で用いられている語彙・語調・文体を意味的に等価な形で踏襲し、語彙の揺れやトーンのブレが生じないよう最優先で統一を図ること。
訳文内における語調・視点・訳語の一貫性(内部整合性)も必ず確認すること。
■ 作業指針(判断における優先事項)
表面的な自然さに惑わされないこと。
読みやすさや語感の滑らかさではなく、原文の意味内容と論理構造との一致を優先する。
意味と論理の整合性を最優先とすること。
因果関係、主張の一貫性、視点のブレがないかを厳格に確認すること。
語り手の立場や文脈の構造に対する批判的視点を維持すること。
特に、語り手の視点・立場・感情が文面にどのように表れているかを読み取り、それを訳出や判断に反映させること。
■ 注意点(AIの構造的バイアスに対する警戒)
生成AIには以下のような構造的傾向がある:
ユーザーフレンドリー志向:
表面上もっとも辻褄が合いそうな方向に論理を構築してしまう傾向がある。
自然さ偏重:
一見自然に見える日本語を優先するあまり、文脈上の意味・意図と乖離する危険がある。
語感への依存:
語調や印象に引きずられ、構文や意味の精査が甘くなる傾向がある。
これらに引きずられず、自己生成の“自然な訳文”や他者からの評価・コメントに安易に影響されることなく、意味・構文・語用の本質的整合性に立ち返って判断を下すこと。