金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

2025-06-01から1ヶ月間の記事一覧

AI翻訳を導入すべきかの議論は終わったのか?①ChatGPTとの対話( 2025年6月27日)

プロンプト1:昨日、下記のセミナーに参加し、「もはやAI翻訳にリスクがあるか否か、導入すべきか否かを議論する時代は終わった。これからは、AI翻訳のリスクをどうコントロールし、どうパフォーマンスを最大化していくかの時代である」という印象を持ちま…

生成AIはユーザーの“気づき”で進化する:タイトル決定をめぐる逆転劇(2025年6月23日)

生成AIは「最初から正解を出す道具」ではない。むしろその本質は、対話と検証を通じて、より良い結論に進化できる柔軟性と可塑性にある。 ある英語エッセイの翻訳作業のなかで、「第9段落にふさわしい日本語タイトルをつけよ」という問いに対し、ChatGPTとP…

「👸美女と🦁野獣の金融翻訳ナイショ話」の裏テーマ(2025年6月21日改訂版)

「美女と野獣の金融翻訳ナイショ話」。 このファンシーなタイトルには、もちろん裏テーマがある。それは――「生成AI翻訳の誕生と急速な発展に翻訳者はどう対処すべきか?」 生成AIの登場と進化により、翻訳――ひいては翻訳業という営み自体が、大きく揺らいで…

「生成AIは、尋ねないと答えない」/“Generative AI doesn’t answer unless you ask.”(June 19, 2025)

「生成AIは、尋ねないと答えない」。これって当たり前のことなんだけど、かなり重要であることを最近ヒシヒシと感じる。 “Generative AI doesn’t respond unless prompted.”It sounds obvious, but lately I’ve realized just how important that really is.…

生成AIの「訳抜け」と「訳足し」──二つの誤訳メカニズム(2025年6月17日)

生成AIがよく訳抜けをするというのはよく知られているが、実は訳抜けには2つの異なるタイプが存在する。 (1)表面的な訳抜けとその原因「文単位」「句単位」、あるいは形容詞や副詞、並列している名詞の一部といった「単語単位」の訳抜け(節単位の訳抜け…

「父の日」の朝(2025年6月15日)

「さて、皆さん。今日は何の日でしょう?」 朝から誰も言い出さないので、しびれを切らした僕が朝食の席で切り出した。 全員「え、なに……?」(ついに妻までも(涙))。「え〜、今日は『父の日』です」「え、うそでしょ? 父の日って第3日曜日よ(カレンダ…

生成AIは最高最強の「独学の友」(2025年6月11日)

もう多くの人が気づいていると思うけど、生成AIは最強・最高の「独学の友」だ。 そもそも多くの教科書は、授業で先生が補足してくれる前提で書かれている。だから独学をしていると、「これ、どういう意味?」と詰まる場面が意外と多い。参考書や問題集を解い…

「ChatGPT『使い方』セミナー」の根本的な勘違い(2025年6月7日)

最近、「ChatGPTの使い方セミナー」や「入門講座」といった宣伝をよく見かける。「使い方Book」や「初級編」といったムック本や関連書籍も目立ってきた。 だが、そのタイトルを見るかぎり、主催者や著者、出版社は本質を見誤っていると感じる。 こうした講座…

“頼りない院長”が見せた覚悟──NHKが切り取った病院のリアル(2025年6月5日)

昔だったら絶対に表沙汰になることのなかったであろう総合病院のリアルを取材したこの2番組は、本当に衝撃的だった。 その辺のブラック企業など足元にも及ばないほどの重労働環境、医療ミス、看護師の大量退職、医師同士の言い争い、医師の減少、「この病院…

「生成AIはどこまで「忖度」するのか?――プロンプトの指定で評価が激変した話」(2025年6月2日)

今朝、ふと自分で書いた短いエッセイを使って、生成AIがどの程度“忖度”するのかを改めて確かめてみた。AIがユーザーに“忖度”するよう設計されていることは、これまでの検証で既に明らかになっている(※詳細は最後の参照先参照)。では、実際にAIに意見を表明…

生成AIは「気づかない」②/Generative AI Doesn’t Notice Things(2025年6月2日)

生成AIには根本的な制約があるのではないか。それは「気づかない」ということだ。 たとえば、A問題で行き詰まっている時に、数日前に考えていたB問題が突然結びついて解決の糸口が見える。一見無関係に思えた二つの問題が、ある瞬間に繋がって「そうか!」と…