金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

母語が日本語である翻訳者が日英翻訳でChatGPT(生成AI)を使いこなすためのキモ(一般論)(2025年2月4日現在)

母語が日本語である翻訳者が、日英翻訳においてChatGPT(生成AI)を使用する際、以下の二段階のアプローチが効果的であるというのが、現時点での私の結論(仮説)である。

【翻訳段階:ChatGPTによる初稿作成】

  • 基本方針
    ・英語が母語でない私は、初稿作成からチェックプロセスまで、英文の仕上げはChatGPTに任せ、自身は品質管理に徹する。
  • プロンプトに盛り込むべき重要な情報
    1. 原文の著者やその立場
    2. 発表媒体(社内の報告、内々のメッセージ、社内報、雑誌、新聞等)
    3. 文章の種類(記事、エッセイ、報告、通知等)
    4. 想定読者(一般読者、専門家、学生、子ども等々)
    5. 原文の目的(最も主張したいこと)
    6. 文体:私のこれまでの経験ではChatGPTは文体(だ・である調かですます調か、等)による文章のトーンを判別できないので、プロンプトでは、原文のトーンをなるべく細かく指示することが重要と思われる。
  • 補足情報の必要性
    ・原文が日本語で書かれている場合、想定読者は圧倒的に日本人であると考えられることから、英語に翻訳する際には、日本人には常識でも英米人には必ずしも常識でないと思われる情報や考え方を、必要に応じて補足する必要がある。
    ・こうした補足情報も英文に盛り込むよう指示するとともに、原文に明示されていない内容を英語表現に追加する際は、必ず以下を私に明示するよう指示する:
    • ① どの部分を追加したか
    • ② なぜ追加したか

【チェック段階:品質管理と多様な生成AIの活用】

  • 品質管理の定義
    ・英語を読んで元の日本語原文の意図や主張が正確に反映されているかを評価し、必要に応じて修正指示を出すプロセスである。
  • 具体的なプロセス
    ・私自身が日本語または英語で訳文の意図や意味について質問しつつ、各種修正案を提示し、場合によっては対案となる翻訳文(英語)を示した上で、ChatGPTにその英文の修正を反映させる。
    ・必要に応じて、PerplexityやGeminiといった、他の英語ネイティブと見なせる生成AIの評価やコメントも取り入れ、総合的な品質チェックを実施する。
  • 最終的な管理
    ・このアプローチにより、翻訳の初稿はChatGPTの優れた英語表現を活かしつつ、最終的な意図の伝達やニュアンスの調整は私自身が管理することになる。
    ・中途半端な人間の判断に頼るのではなく、生成AIの強みを最大限に引き出すことで、より精度の高い翻訳が実現できると考える。

なお、このプロセスにおいて私に求められる最も重要な要件は、原文の意図やニュアンスが翻訳された英語に正確に反映されているかを判断できる、十分な英語読解力である。

 

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