女「横山秀夫」さんの最新刊。
自分の仕事に圧倒的なプライドと正義感を持つ主人公の心臓外科医が、自分と同じかそれ以上のプライドと腕と正義感を持つ同じ分野のライバル医師と対立しながらも彼のことを認めて、図らずも一人の患者に二人で向かうことになる「対立と協調」の物語と、自分が絶対の信頼を寄せている医療器具に対するかすかな疑問とそれを取り巻く様々な人間模様(若干『白い巨塔』に雰囲気が似ている)と疑問の広がり、手術中にそれが実現して一人苦悩する主人公の物語が同時進行していく。
2日間で一気に読みました。実に面白かった。
が。。。’(期待高めたがまだ読んでいない方はここから先を読んではいけない)。
詰めが甘いと思った。
結月さんの小説にいつも感じるのだけれど、設定と話の運びが実に見事なのに、お話の最後がどこか尻切れトンボなのね。本書中にさまざまに蒔かれていた種が回収しきれなかったとでもいうか。そういう残尿感みたいな感じがした。そこが常に完璧な横山秀夫さんに今一歩劣る点、かな。最後の30ページぐらいで「どうしてそっちへ行くの?」と思い、「な~んだ」と若干失望しました。
以上を踏まえ、総合評価は5点満点の4.5ということで(四捨五入してアマゾンでは「5」としました)。