金融翻訳者の日記

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

本1冊訳すのにかかった時間

書籍1冊8万4300ワード、本文、序文、付録、推薦文等々含めて本日すべて翻訳終了。
所用時間:570時間。本書の場合、編集担当者とのやりとりはほぼ終わっているし、校正刷りのチェックもほとんどないはずなので、あと10時間もかからない(はず)。僕がこれまで関わってきた平均的な本(7~8万ワード)の場合「1冊550時間前後の法則」は今回も守られた感じ。

現在2校を待っているもう1冊の方は13万2500ワード。
所要時間:約930時間。初校の修正にかかったのが35時間だったから、2校の校正はどうだろう、20時間はかからないのではないかな。そうなると翻訳時間は合計950時間ぐらいかな。こちらは600ページぐらいになるそうです。かかった時間も、本の厚さも『ティール組織』並みとなった。

実務翻訳者なので、ほとんど自動的に記録はつけていますが・・・時給?聞かないでよ。「生産性」とか、金だけを考えていたらやってられません(参考までに書いておくと、『ティール組織』初版段階での僕の印税をかかった時間で割ったときの時給は670円でした)。しかも本業は(最近負荷を減らしてきたとはいえ)実務翻訳者なので、日々の締め切りの合間に時間をつくって書籍を訳す――いわば「すき間時間」に書籍を訳すことになる。もっともうす~い本ならともかく、日本語にすると300ページを超えるようなまとまった本になると、かなり覚悟しないと終わりません。

本に取り組んでいる時には「すき間」とは言え、1日に2,3時間、1カ月100時間を目標に置いて訳す。しかし実務翻訳には「突然、これお願い!」が結構ある。飜訳会社なら断れるが、現在顧客の大半を占めるソースクライアントからの仕事は原則受ける。そういう仕事が来ると、勢い締め切りの相対的に「遠い」書籍に使える時間が減っていく・・というわけで、実際には書籍に当てられる時間は1カ月当たり少ないときで50時間ぐらい、かなり無理して頑張った時で90時間ぐらいになる。すなわち、書籍を訳している間は「休日」がなくなるわけです。好きじゃなきゃやってられまへんで。体力的にも相当キツい。

でもでも僕は、お話がある限り書籍を止めるつもりはないし、お話がなくなったら自分で出版社に売り込みに行ってでも書籍の翻訳を続けたい。だって面白いし、色々なことが学べるし、自分の名前がでるので自己顕示欲も満たせますしね。そして、運が超良ければ大もうけできるかもしれないし(ちなみに秋に出る書籍のうちの1冊は、でーっかい夢を追ってとにもかくにも数を打ち続けると時にドッカーーーーーーンと当たってそれまでのコストがすべて余裕綽々で回収できるほどインパクトのデカい、ある意味で出版に近いビジネス業界に関する通史です)。

個人的には、経済的圧迫が減り、したがって実務翻訳の負荷が減ってきた今後は、書籍の比重を高めていければと思う(そこは私の営業努力ですが)。それくらい止められない。麻薬といってもよいかも。

今の流れで行くと、同じくらいのタイミングで2冊出版されることになりそうです。)

(後記)
13万2500ワードの方が『ベンチャーキャピタル全史』です(2022年8月28日記)