金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

前川前文部科学省次官、記者会見で最も重要なこと

仕事しながら2時間見ました。素晴らしい記者会見だった。
見た甲斐があった。
 
冒頭に司会の方から、「国会で語ってもらおうにもその場がないので、ここは証人喚問ではないが、前川氏には是非良心に従ってお答えしていただきたい」との挨拶があって始まった今回の記者会見。事件の解明に結びつくような新たな事実が明らかになったわけではありません。ただ、それ以上に、私が最も重要だと思ったのは、
 
前川さんは信用できる

 

 

ことが明らかになった点ではないだろうか。

2時間、100人近く(?)のマスコミ人の前にさらされ続けるということは、能力と人間性が隠しようもなくさらけ出されてしまうと思います。おそらく、あの記者会見場にいたほとんどの記者(産経も読売も含めて)が、程度の差はあれ感動し、「この人は信用できる」と思ったのではないか?そうでなければ、受賞記念とかお祝いではなく、どちらかというと事件性のありそうなあの手の記者会見の終了時に拍手が沸き起こるということはなかったのではないかな(僕は記者会見を全部見たのは初めてなので、その辺はよくわかりませんが)。

すでに報道されている部分以外で気がついた点。

・「(国家戦略特区会議の決定に反対しなかった)結果として文科省(つまり自分)は加担した、と言われてもやむを得ない」
「在職中に声を上げられなかったことは誤りだった(とはいえ、声を上げていても最後は政治判断だったので結果は変わらなかったと思う、という見立ても質疑応答の中で示しています)」
「(総理のご意向文書を流したのか?という質問に対して)その問題にはコメントできない」といった自らの非や反省点を認めながら、すべての質問に誠実に答えていた。言い逃れようとか、ごまかそうといったソブリは一切見えなかった。信念を語っていると思った。

・松木文部大臣、義家副大臣に対して「本当にご苦労されている。その中で(ああいう対応が)精いっぱいだったと思う」といたわりの言葉を述べていた。

・萩牛田官房副長官のメモを書いた課長補佐について、「おそらく私がよく知っている人物で、非常に優秀で信頼できる。その彼(彼女?)が聞き間違いや、勘違いをするはずがない」とどこかの大臣とは全然ちがって、きちんと評価していた。あの課長補佐は一生前川さんを尊敬すると思う。

・マスコミ全員を前に「第4の権力であるはずのメディアが危機的状況にあるのではないか?」と読売だけでなくNHKも名指しして苦言を呈した。

・司会者もうまかった。「時間が来たので質問の機会をここまでにしたい。今ご質問のある方は手を上げて下さい。全員お立ち下さい」と言って全員に質問させた(個人会員もいたのにはビックリ)。

・すべての質疑応答が終わった後で、司会者から最後の言葉をうながされ、「個人の尊厳」「国民主権」という自らの書いた色紙(?)を掲げて、役人であるからこそ個人の尊厳を持って仕事をしてほしい。役人も主権者の一人である、という姿勢を忘れないでほしい、と言った前川さんの発言を見て泣いた文科省職員は多かったのではないか?

 

是非皆さんもご覧下さい。

最初から最後までの視聴を強く、強くお勧めします。

 

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