金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「1日1万歩に明らかな効果あり」(2016年12月)

7月15日に「『1日1万歩』の効果」という日記を書いた。

ある健康番組で、「1日8000歩で糖尿病完治。1万歩で生活習慣病等すべて完治。ただし20分のやや強めの歩きを入れなさい」というアドバイスを見せられて、5月5日から「1日8000歩」、6月1日から「1日1万歩」を始めた。

2カ月ほどたったところで、果たして効果はあったのか?を検証したのである。

この活動を始めた5月3日以前の20日間と7月15日以前の20日間の平均体重を比べると
5月3日までの20日間の平均:77.9kg(この間の平均歩数5957歩)
7月15日までの20日間の平均:76.4kg(この間の平均歩数11,824歩)
であり、「1.5キロの減量に成功、と言っていいのではないか。やっぱ効果出てるんですね」と書いている。

さて、最近体重が75キロを切るようになってきた。当初は週に1度ぐらいだったが、最近は週に3~4度ほど。そこで今日までの20日間の平均体重を見てみることにしたのだ。
12月2日までの20日間の平均:75.1kg(この間の平均歩数9,643歩)

つまり、7月15日以降マイナス1.3キロ、5月からだと3キロ近くの減量に成功したのだ。
(5月から変わっていないこと)
ここまでで次のような散歩がほぼ習慣化してきた。
朝食後:15~6分。
昼食後:15~6分。(ただし夏場は暑かったので無理に歩かなかった)
夕方40分ぐらい。夫婦で歩くことが多い
夕食後:15~6分。1万歩マイナス分をここで補って距離を調整している。
だいたい、1日の散歩時間の合計が1時間~1時間20分ぐらい。歩く距離が4.5~55キロぐらいです。ただし、9月以降は1万歩にはこだわらず、8000歩を超えていればヨシとしている。平均歩数が少なくなった原因だと思う。
(7月15日以降で変わったこと)
① 10月中旬以降、間食を一切しなくなったこと
たしか、10月のどこかで、つい宴会で飲み過ぎちゃってという書き込みをしたら、出席者のお一人から、「自分でコントロールできないものはしようがない。ただし自分でコントロールできるものはした方がよい」というコメントをいただいたのが効きました(大感謝)。以降、宴会以外ではほとんど間食をしていません(食後のちょっとしたデザートを食べることは時たまあります。それと先日の翻訳特別教室の時は、補講までは待てないと思ったのでパンを2個食べたーこれが唯一の例外)。

② 9月中旬ぐらいから朝と夕のご飯の量を130g台に抑えたこと。
特に理由はない。何となくご飯の量を減らせるような気がしたので、計量してみようということになったのだ。なお昼食は冷凍食品のチャーハン(220~250g)等を食べているので特に抑えていない。

もはや1日1万歩(8000~1万歩)に効果があることは明らかだ。
1日3~4回散歩なんて、フリーランスしかできませんぜ。皆さんお試しを!

(後記)上の書き込みはちょうど5年前です。今も当時ほど厳格ではありません。ご飯は一膳ですが測っていないし、間食は時々していますが、1日8000歩を目安の散歩を続けています。ちなみに本日の体重が71.2キロですから、この時よりも5キロ、いや上の書き込み前のピークが78キロ近かったみたいなので、ピーク比でほど痩せています。1日あたり8000~一万歩の効果は間違いなくありました。僕の場合は。(2021年12月2日記)

電話外交受難の時代

昨日、「労働〇〇事務所の◆◆と申します。雇用主様いらっしゃいますか?」と電話が。
「私ですが」「実は、このたび・・・の調査で」と始まったので、
「あなたが、その〇〇事務所の人間だと証明できる方法がありますか?」
「電話では、できません」
「ではあなたの質問には答えられません」で終わった。

1年ぐらい前から、僕は知らない人からの電話の質問には一切答えないことにしている。もちろん、真面目な調査もあるだろうから。「こういうご時世なので、ご理解ください」と丁寧に答えるようにはしています。ちなみにここで「知らない人」とは、「その電話」の声以外の方法でその人の地位や立場を確認できない人のことを意味する。

今持っているパソコンはHPですが、元々は似たような電話外交で始まった。上のような会話で始まった後、でも僕はパソコンをHPで買ってみたかったので、

「では〇〇さん、あなたの部署を教えて下さい。僕が自分で御社の本社を調べ、代表番号からあなたにつないでもらいます。そうしたら信用する」
とやって本人確認をし、2台の購入となったのだ。
こういうご時世なので先方も分かってくれる。

そう言えば、先日のNHK番組で、NHKが行った電話調査の結果が紹介されていた。
「スミマセン。こちらNHK朝日新聞)です。無作為抽出で選択したお宅にお電話をおかけする世論調査です。ご協力をお願いします」

こういう電話がかかってきたとする。
これにホイホイ答えてしまう安易な人々の回答にどこまで信憑性があるのだろう?か?

本文の訳だけで643時間(2016年11月)

昨年10月から始めて6月末の予定が4カ月と1日延びて本文校了。643時間ですよ、643時間。

本が出るまで一銭にもならず、出たからと言ってヒットするとは限らない(ヒットしない可能性の方が高い)643時間。しかもまだ終わっていない。
キツかったー。かなり難解だった。予定通り進まないのと難しいので何回夜中に起きただろう?(毎回1,2度はあるんですけど)。好きじゃなきゃできないね、このただ(じゃないけど)働きは。

まだ付録と原注が30ページほどある。1カ月(最大1カ月半)もらえたので、実務キツいけど何とかなりそう。

(後記)『ティール組織』です。この後原注と付録の訳を提出し、編集者の下田さんとのやり取りが続き、結局出版までここからさらに1年2カ月、さらに350時間ぐらいかかりましたので、トータルでざっと1000時間かかりました。(2021年11月1日記)

頼られると思うからこそ頑張れる(2016年10月)

某P社から昨日きたスケジュール確認メール
「Aレポートに関しては、11月12日土曜日中に英語原稿が仕上がる予定です。予定では30ページほど担当して頂くことになると思います。一日A4で3ページ程度の感覚で、最終的には11月23日までに完了を目指しております。
その後、11月25日金からBレポートが始まります。同じシリーズCレポートまで継続してお願いすることになると思います。終了を12月5日(月曜日か6日辺りを目標としています。Cレポート提出後に、Dレポートを10ページほど。締め切りは12月9、10日あたりまで。その後Eレポートは16日がスタートとなります」

1社でこれだけガチガチにされるのもめったにない。これ以外に毎月来ている他社の案件が4、5本入る。で、これと並行して本が進む。

ため息をついて、このP社の今月分のマンスリーレポートをやっているところに、この締め切りをずらして計2本やってくれと依頼が昨晩と今朝に来た。頼ってくれている。ありがたい。喜んで受けました。

「瓢箪から駒、みたいな」(和英案件)(2016年10月16日)

自業自得と言いますか何と言いますか、金曜日に原稿も見ないで受けてしまった仕事のおかげで朝から晩まで仕事でした。その割に翻訳時間が長くないのは、睡眠時間を7時間にしているのと散歩を必ずいれているため。

実は金曜日には同じソースクライアントからこんな問い合わせもあった。

「鈴木さん、コンプライアンス規程の英訳の仕事・・・お引き受けいただけます?」
「いや、喜んで受けさせていただきますが・・・、ただ・・・」「何よ?」
「・・・僕が訳すわけではなくて・・・」
「どういう意味?」
「僕の本業、英和でしょ?でもお客様から時々頼まれることがあるんです。ま、裏メニューみたいなもんでして・・・」

と一通り話し、

「・・・というような仕組みでやっているので、質には絶対の自信ありますが、『今日の明日』ってわけにゃいかんのですよ」
「実績は?」
「今の英訳担当者との付き合いはもう10年ぐらい。今も某社の70ページ、2カ月の英訳プロジェクトが進んでいます」
「ネイティブの方が訳すと言っても、鈴木さんの責任で受けるのですよね?」
「もちろんです。僕が全責任を持ちます」
「あ~そうですか。で、レートは1文字あたり5円でしたっけ?」
「いえいえ、最低その5倍で・・・」「ひぇ!」
「これだけの人と時間をかけますので・・・。ちなみにレートはネイティブ担当者と完全に折半です。Uさん(お客様)がお尋ねになりそうな質問は全部僕の部分でつぶしますからご心配なく」
「あ~そうなんだ。そうですよね、鈴木さんがあたしの役割をするんですものね。わかりました。どうも!」で電話が切れた。

来ないと思ったね。
そしたら2時間後。

「こっちで検討したんですが、和英も鈴木さんのところでお願いすることになりましたので、契約書を詰めさせてください。その方にも当社宛守秘義務契約に署名いただきますけど、よろしい?」
「いいですよ。でも直接契約しないでね」
「何言ってんのよ。ありえない」
「ありがとうございます!」

ま、こんなこともあるってことで。

逆茂木型の文 ー翻訳ストレッチの教材から(2016年10月)

(以下引用:ただし、適当に間引いています)
5.2 文の構造 ― 逆茂木型の文
最初に次の例文をご覧いただきたい。
「・・・直流電気抵抗の消失をはじめとする特異な性質を示す超伝導状態は、いろいろな運動量をもって勝手な運動をしている伝導電子が、ある臨界温度Tcで、そのほとんどがある特定の運動量pをもった一つの量子状態におちこむことによって実現する。電子自身は、一つの量子状態を一個以上占有できないというパウリの禁制原理にしたがうので、このような状態をとることはできない。しかし・・・」
(中略)
裏返して言えば、読者に逆茂木型の抵抗を感じさせないためには、次のような心得が必要であろう。
(a) 一つの文の中には二つ以上の前置修飾語は書き込まない。
(b) 修飾節の中の言葉には修飾節をつけない。
(c) 文または節は、なるたけ前とのつながりを浮き立たせるような言葉で書き始める。
(a)、(b)、(c)を念頭において、上記の逆茂木型の例文を書き直してみよう。それには、長すぎる文を分割する、また前置修飾語が修飾している言葉を前に出す、等の手法が役に立つ。
・・・超伝導状態では、直流電気抵抗がなくなるほか、いろいろと特異な性質が現れる。超伝導は、特定の物質が固有の臨界温度Tc以下に冷却されるときに起こる:それまでの勝手な熱運動をしていた伝導電子が、ほとんどすべて、特定の運動量pをもつ一つの量子状態におちこんで超伝導がはじまるのである。もっとも、パウリの原理によって、二つ以上の電子が一つの量子状態にはいることは禁じられているが、・・・
(ここまで)『理科系の作文技術』(木下是推著、中公新書)pp78-81

村井章子さんが本書を「絶対お奨めです」とおっしゃっていた意味がよくわかりました。

www.chuko.co.jp 

「柴田元幸先生の素晴らしさに打ちのめされる」(2016年10月)

柴田先生のセミナーに参加するのは3回目だが、過去2回は朗読会と対談で、「翻訳」そのものを扱った、お勉強に近いセミナーは初めてだった。
最高でした。
ノートは別に書いて公開するつもりなので、大ざっぱな印象をいくつか。

1. 金子靖先生は、ほぼ柴田先生の翻訳のやり方を引き継いでおられることが確認できた。
時制の考え方、擬態語のとらえ方、「・・・し始める」の省略など、金子先生が授業で何度も繰り返されている翻訳技法を、「いろいろな考え方はあると思いますが、僕はこうしている」となぜそうしているのかについて、ご自分の考え方を説明してくれた。昨日参加した金子教室の現元生徒の皆さんは実感し、安心したのではないか(別に今までの金子先生を信用してないってことじゃありません。あしからず)。柴田先生の翻訳の授業なんてめったに受けられないが、金子教室は毎月ある。要するに、柴田先生の授業を毎月受けられるようなものだと思った。

2. 生徒の目線に立った謙虚な姿勢に感銘を受けました。
上に書いたように、「自分はこうしています」「私の体験だと・・・これがベスト」とはおっしゃるが、いわゆる(自分が「先生」と呼ばれないと不機嫌になるような)「大先生」がするような「これはこうなのです!」的な押しつけが一切ない。質問に対するお答えは、最後に「・・・これでお答えになっていますか?」と相手の目を見て尋ね、うなずきを確認してから次に進む。セミナーが終わった後、宴会場までの道のり、ふと気がつくと後ろを歩いていらっしゃるという存在感のなさ(ヘンな意味ではありません)、宴会場ではアルクの佐藤さんにわざわざ「なるべく皆さんと話したいので、席をいろいろ移らせてほしい」とお申し出になる心遣い等々、人として見習いたいと思った。

心から、行って良かったと思うと同時に、翻訳勉強会、真面目に取り組まなければとあらためて心に誓った次第。


(余談)ちなみに私は、テキストの原本を一昨日に100円(プラス送料)で買いました。ラッキーであった。

tbest.hatenablog.com