金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「心っていう漢字ってパラパラしていていいと思わない?心は乱れて当たり前」。五味太郎さん:6月1日に出会った言葉

(1)2021年6月1日
いたるところに異民族や異教徒や他言語を話す人間が共存している社会では、万人に「迷惑をかけない」ことを求めるより「他人の逸脱に寛容である」ことの方が現実的になる(小田嶋隆著、武田砂鉄撰『災間の唄』(株式会社サイゾー)p162)
*本日の言葉は、「お前は人に迷惑をかけて生きているのだから、人のことも許してあげなさい」というインドの言葉に似ているけれども、ちょっと意味が違うようだ。小田嶋さんは、「他人に迷惑」という発想は、迷惑を「かける」(インド)も「かけない」(日本)も同質性の高い社会だったから成り立っていたというお立場。

(2)2020年6月1日  
「心っていう漢字ってパラパラしていていいと思わない?心は乱れて当たり前」。五味太郎さん(絵本『きんぎょがにげた』から)
(「天声人語」本日付朝日新聞
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、臨時休校による分散登校などを行っていた市立小・中学校および幼稚園が、6月1日から通常どおり再開した。その子どもたち向けの言葉。今朝散歩に行くときもお母さんに連れられて学校に歩いて行く小さい子どもたちを見かけました。

(3)2019年6月1日  
絵が上手な人の半分以上は、「ありのままに観ること」でつまずいているに過ぎない ――著者が参加したした絵のワークショップでの教え
(『直感と論理をつなぐ方法』佐宗邦威著、ダイヤモンド社、p149)
*本日の言葉:『直感と論理をつなぐ方法』の昨日紹介した箇所の後、というか続き。
絵なんて才能だと決めつけていたのだが、必ずしもそうではないのでは?と著者は説く。他ならぬ著者自身、「このワークショップに参加するまでは、自分はいわゆる『絵心』がない人間だと思っていた」(同書同ページ)という。自分に抜けているものの捉え方とそれを是正する方法が具体的に提示してある。しかも著者の経験が基になっているから説得力がある。いやはや凄い本に出会ってしまった。その幸運に感謝。

(4)2018年6月1日  
若い作家を育てるにはちゃんと文化助成の予算を確保すべきだ。ただ映画が国に何をしてくれるかという発想でしか文化を捉えられない人たちが中心にいる今のこの国の状況では、国益にかなう作品に金を出すという発想にしかならない。日本のコンテンツを外国に売り込むという発想しかない。それでは意味がない。
(「カンヌ最高賞の是枝監督 内向き日本に危機感」本日付日本経済新聞

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