金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「コンピュータの下した決定を人間がチェックするのは、多くの場合に適切といえる」『プラットフォームの経済学』(5月24日に出会った言葉)

(1)2019年5月24日  ·
「工学は具体的な課題を解決しようとする。批評家はモノを作らない。でも、アートは個人的な問題にフォーカスすることで文化的に深掘りすることもできる。考えるだけじゃなくて手を動かして身体で感じる方が、考えが奥までいく」
(「令和によせて――言葉介さず、アートで深掘り:メディアアーティスト落合陽一さんに聞く」本日付朝日新聞
*今日の言葉。今、毎日音読している『直感と論理をつなぐ方法』で著者の佐宗邦威さんが「ビジョン思考」を得るための方法として「手を動かす」とおっしゃっていることにつながると思った。落合さんはアートを他の分野と切り分けているけれど、佐威さんは、アート的な作業はだれにでも試せる、と。

(2)2018年5月24日  ·
人間が、コンピュータにはない困ったバイアスを備えていることはたしかだ。だが人間は、コンピュータにない強みもある。まず人間は、五感を常に働かせて常時膨大なデータを受け取っている。人間は、その膨大なデータをあらかじめ選り分けたりしない。すべてを一時に受け取る。というよりも人間は、どれか一つの音だけを聞くとか、一つの物だけを見るということはまずできない。コンピュータはまさに反対である。コンピュータは、プログラマーがあらかじめ設定したデータ以外のものを集めることが極端に苦手だ。
 このちがいから、人間の重要な仕事が浮かび上がってくる。
・・・偶発的な要因を網羅的に考慮すること・・・
・・・もう一つの強みは、知恵とか常識とか呼ばれるものだ。知恵者とはとうてい呼べそうにない人でも、こと常識に関する限り、最先端のコンピュータにまさっているのである。
・・・コンピュータの下した決定を人間がチェックするのは、多くの場合に適切といえる。
(『プラットフォームの経済学』pp89-90より)

プラットフォームの経済学 機械は人と企業の未来をどう変える? | アンドリュー・マカフィー、エリック・ブリニョルフソン, 村井 章子 |本 | 通販 | Amazon