金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「失われた1世代」-オンライン英会話のレッスンから

フィリピン人の先生方の大半は、日本人がリッチで安全な国で暮らしていると思っているので、最近はその「誤解」を解くためにいろいろ説明していると、大いに驚かれることが多い(オンライン英会話の教材ではよく貧困問題が取り上げられるのだ)。

その例として僕がよく紹介するのがこのトレーラーだ。これを見ながら「これは極端な一面ではあるが、日本におけるinvisible poverty(見えない貧困)はかなり深刻なのだ。その背景として・・・」と終戦後からの高度経済成長と「ジャパンアズナンバー1」に浮かれてバブル時代に入った話や、それが崩壊して「失われた十年」「失われた二十年」「失われた三十年」を経て、先週日経平均が35年ぶりに史上最高値を更新し、いまやこの35年間を「失われた1世代」という人もいる。今の若い人たちが将来に希望を持ちにくくなって少子高齢化が一段と進んでいる一因もこういうところにあると思う、と話すと

「今の日本が厳しいとは生徒たちに聞いて知っていたけど、その背景まで含めたこんな話を聞いたのは初めてだ」と結構感動される。 

「そりゃそうかも。あなた方の生徒さんはあなた方と同世代かそれより小さい小中学生だろ?多くの日本人が『21世紀は日本の時代』と浮かれていたこともあったんだよ・・・ちなみにそれって僕の世代、つまりあなた方のお父さんやお母さんの世代なんだ」「へ~」

とまあ、テキストから離れてこんな話をしていると30分ぐらいはすぐ過ぎてレッスンが終わる。

お気に入りの先生にこの話をする。「万引き家族」のトレーラーももう何回見せたろう。

で、昨日の先生にこう言ったんだ。「次は君たちの世代、君たちの国の時代なんだ」

 

 

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