金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

フリーランスを続けてきたことの「負担」

妻は次男の給料日(いわゆる「ゴトー日ではありません」)をしっかり覚えていて「給料日まであと3日だね」「明日給料日だね」とか言ってはうるさがられている。

元々きちんとした人で、結婚後35年間の家計簿は全部保存してあり、1986年5月(結婚の翌月)から2002年8月サラリーマンをやめるまで)に僕が受け取った給与明細書を全部取ってある。

・・・ので、昨年4月から社会人になった次男の給料日を覚えていてもあまり気にしていなかった。次男から毎月下宿代を数万円もらっているが、別に給料がいくらだとか残業代がいくらとかを雑談の中で尋ねることはあっても、確認することはない(当たり前ですが)。そもそも最近は給与明細書は紙ではないらしい。もちろん妻も僕も見せてもらったことはない。

いやちょっと待て。妻が次男の給料日を覚えているのは、20年近く我が家が「月々の決まった収入」と無縁の生活を送ってきたからではないか。だから「月給」に対する思い入れが強くなっていたのではないか。

独立してそろそろ20年。僕はそれなりの(経済的な)準備をしてフリーランスになり、好きなことをずっと無我夢中で続けてきた。幸い、明日の生活に困るという経済的困窮に陥ることはなく、妻も僕の努力をずっと応援してくれていたけれども、やっぱり月給がないというのは、専業主婦(正確に言うと、経理全般を担当してくれています)の妻にはかなりの心理的負担になっていたのではないか。そういった、実は大きな見えない不安が、無意識のうちに息子への頻繁な問いかけになっているのではないか。

そんなことに、昨日ふと、何の前触れもなく気がついたのだ。フリーランスになったことのマイナス点を初めて認識した瞬間かもしれない。もしそうだとしたら心から妻に心から申し訳ないと思った(敢えて尋ねたり確認したりはしませんが)。