昨日は夕方まで仕事の後、ノンフィクション翻訳者忘年会の幹事会。打ち合わせの後飲みに行くわけですが、出版社の皆さんは「状況がどんどん悪くなっている」のを肌で感じるとのこと。本が売れなくなる中で出版点数が増えており、「仕事が大変になるが儲からない」と。
元々山岡洋一さんは「優秀な実務翻訳者をノンフィクションに呼び込みたい」との思いでこの会を始められたものの、今は環境が厳しすぎてとてもとても「どうぞおやりください」という雰囲気はない。「実務翻訳で食えているのなら、どうぞそれを続けて欲しい」というのが出版界での肌感覚とのこと。
そういえば山岡さんがお亡くなりになる確か1年前、「翻訳通信」100号記念の講演会で山岡さんが「皆さん、お仕事があればそれをきちっとやってください。今徒手空拳で出版に飛び込むことはお薦めしない」とおっしゃっていたことを思い出した。もっと前、5~6年前のJTF翻訳祭の講演で小川高義さん(『さゆり』)が「『さゆり』がベストセラーになったにもかかわらず私が未だに大学教授をやっている。それが出版界の現状です」と半ば自嘲気味に語っておられたことも。
そうは言ってもですよ。だけどだけど、やっぱ夢は持ち続けたい。自分の仕事を残したい。この国の文化に貢献したい!って気持ちは誰でもあるじゃないですか。「そのお気持ちもよーく分かります。我々も使命感でやっているんです」と某社Mさん。
憧れの村井章子さんに「僕なんか出版翻訳にかけられる時間は1日に2~3時間ですよ」と言うと「そりゃ大変よね~。調子が出てきた時に止めなきゃいけないんでしょ」と同情されるがしようがない。これが私の本業なのだ。霞を食っちゃ生きていけないのだ。その一方で出版に関わっていてこそ村井さんともお会いできる。これでヨシとする。納得。