金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

TOEICお勧め著者と「間違いない本」1冊(2019年2月12日)

(大前提)あなたが本当にTOEICの点数アップを狙っているのであれば、狙うべきはTOEIC関連本「しか」書いていない執筆者。彼らはTOEICに人生を賭けている。根性の入り方が違う。TOEIC関連本「も」書いている執筆者の本は玉石混淆。
具体的には・・・
(1)外れがない著者(敬称略)によるもの
Tex加藤
・濱崎 潤之輔
・ヒロ前田
以上3人の書かれたTOEIC本は、レベルにかかわらず、まず間違いないと思います。
実際に書店に行って自分のレベルに合ったものをお買いになればよいでしょう。3人ともTOEICに人生を賭けているのが、本の端々からうかがわれます。
上のお三方以外にも、神崎正哉、花田徹也、森田徹也、中村澄子さんなど有名な著者はいらっしゃいますが、僕自身があまり使ったことがないのと、「これだ~!!!」というのには出会ったことがありません。
(2)使っているうちに「これだ~!!!!」と思った、どのレベルの方にも、間違いなく役に立つと僕が確信している本。
TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問 』TEX加藤 (著)、アスク社
これは凄い。TOEICのPart5の問題1000問以上について、1問1問、なぜ不正解か、なぜ正解かの理由を、『英文法解説』江川泰一郎(金子書房)的な乗りで説明してくれる超優良書。僕は現在4回目だが、英文法の基礎を毎朝クイズ形式で確認できるみたいな感じかな。
難点は分厚くて持ち運びがしにくい点かなあ。
(最後に)
1.TOEICの勉強は、精選した教材を3~4回繰り返し、完璧にマスターしたと思ったら次に進む。総合問題集は4回目が終わる頃には次のシリーズが出るのでそれに乗り換えていれば問題(時代)の変化に追いつける、というのが1年半勉強した現段階での印象。
2. TOEICが英語の基礎力養成に役立つことは間違いない。点数を狙うことも一つの動機付けにはなるが、それだけに終わらせるのではもったいない。気軽に勉強できて、基礎英語力の養成にこれだけ役立つ教材類(ただし選別は必要)もなかなかないと思う。高得点は狙うけれども点数に振り回されないことが重要だと思います。
3.相性がありますので、この文章を読んで「いいなあ」と思っても安易にクリックせずに、書店で手に取ってから買う、買わないを決めてね!

 

ナンは高級食材(?)

つい15分ほど前のお話。

30分の散歩からの帰途、「そろそろ1万歩かな~」(今日は朝、昼に続いて3回目の散歩)と思いつつラジオ番組を聴きながら歩いていると、

「す、すみませ~ン」

黒髪がキレイで(そう見えただけかな)、目のぱっちりした(そう見えただけかな)、インド人で美人といったらこういう人としか形容しようのない女性(そう見えただけかなー)が僕を見つめている。

「は、はい、なんですか?」
「〇〇号棟はどちらでしょうか?」

結構でかい団地なので僕も周辺ぐらいしかわからないのだが、そこはそこ、

「ちょっと待って下さいね・・・あ~地図がここにあります」

だいたいの場所は分かったので一緒に行ってあげることにした(純粋な親切心である・・・だれにでもそうするのである、僕は。念のため)。

「インド人の方多いんですよね、この辺・・?」
”Yes. You're from India, of course?"と一応英語で言ってみたが、
「あ、大丈夫です。私、日本に15年暮らしてますから・・・ええ、四国と九州に」とあっさりかわされる。

「あ~そうですか・・・あ、ここです」
「ご親切にありがとうございます」
「大丈夫ですよ・・・ところで・・・好奇心から質問していいですか?」

と、せっかくなので(別に彼女との会話を長引かせたかったわけではないですよ、念のため)前から聞きたかった質問をぶつけることにした。

「この前テレビでやってたんですが、カレーと一緒に食べる『ナン』ってインドの家庭料理では見かけない。高級ホテルぐらいにしかないって言ってましたけど、ホントですか?」

「本当ですよ」とニッコリ。「インドの家庭にナンはありません。レストランにならありますけど、家庭料理ではないです」。

やっぱりそうだったんですね。

他人の訳書(訳文)が「ズレた」と感じたとき

原文を読んで訳書を読んだ時に「ズレた」「レールから外れた」(=誤読した)と思うのは、自分の頭の中にいつの間にか染みついていたその単語やフレーズに関する「限られた日本語訳」のせいで理解が歪んでいたためであることが多い。翻訳ということではなく。

「手書き」への切り替え(2019年1月)

気になった原文と訳文を最近手書きでノートに書き付けるようになった(今までは翻訳メモリに記憶させていた=タイプ打ちだった)。手書きは、時間がかかるが身体にしみこむ感じがしていい。

自分にしか読めない字ですけど(恥)。

(後記)3年前のお友だち限りの投稿です。新井素子さんの本の影響もあって、勉強における「書く」をこの頃から手書きに変えました(2022年1月26日記)。 

プロの矜持:『名句の所以』出版記念対談を参観して(2019年1月14日)

昨日は下北沢の書店で『名句の所以』刊行記念対談に行った。たぶん参加者の多くは著者の小澤實さんか、相手役の堀本裕樹さんの関係者(同じか近い俳句結社の人々)のような感じでした。つまり「俳人」の方々が多かった。

翻訳のセミナー等では、登壇者の方が時々「内部事情のことを知っている人にしか通じないであろう用語や言い回し」や、そういった裏事情を話して「・・・ああ、あのことですね」的に応答して目配せし合うような、あたかも「素人さんは黙っててね」的な排除の雰囲気を感じることがある。僕はそういうのが嫌いで、始まる前の段階から参加者の皆さんの多くが挨拶し合っていたので「もしや・・・」とやや身構えたのですが、始まってみたら全くの杞憂でした。

お二人ともとても謙虚で、一つ一つの俳句や作者に対する敬意が溢れているというのが、素人の僕にもよくわかりました。質問コーナーでも、質問なのか自説の主張なのかわからない、なんてのはなくて、(時間がなかったせいもあるが)「続編のご予定は?」とか「今の若い人たちが俳句に使う言葉が軽くなったとのお話でしたが、具体的にどうすればよいでしょうか?」といった、僕でも知りたくなるような内容で、周りの聴衆のことも配慮した、簡潔な質問だなと思った(ちなみに2つめの質問へのお答えは「意識的に自然の中に出向くことだと思います。とりわけ都会からは自然が失われ、自然に身を置く機会が減っていると思うので」でした)。

小澤さんのご発言で最も感動したのは、小澤さんのある句(かなり有名で、世間では高く評価されているらしい)について「これはどういう場面、心境で詠まれたのですか?」との堀本さんの問いに対して、「う~ん」といって2、3秒考えた後、
「20代の句で・・・ほとんど覚えていないんですよ・・・ただ、あの頃の自分を今振り返ると、おそらく歳時記を横において季語をあれこれ探っているうちに出てきたんじゃないかな。僕はその光景を見ていない。つまり『食ってない』」

と率直に述べられた点でしょうか。大御所があえてカミングアウトして読者にこびるというのではなく、心情を率直に吐露された様子で、大変感銘を受けた。聞き手の堀本さんも俳句では相当有名な方らしいが(僕には分からない。ただ堀本さんの句が『名句の所以』に入っていた)、本当に謙虚な方で、こういう方の各文章を読んでみたいと思った次第。

お友だちのHさんに教えてもらった「ラーメン頭」でおいしい豚骨ラーメンも食べられたし、久しぶりに気持ちの良い夜でした。www.amazon.co.jp

最もうれしかったこと(2019年1月10日)

「お父さんがこれまで私にしてくれたことの中で、最もうれしいことってなんだかわかる?」

昨日の夕食後に唐突に言われた。

「今してくれていること・・・夕食後の皿洗いよ」

きっかけは何だったろう。半年ほど前に妻が体調を崩したことではなかったか。喜んでくれているのは分かっていたので続けていたのだが。

「・・・そりゃどうも」

「今、お父さん、あたしに褒められてうれしいでしょ。でもあたしはね、いまお父さんが思っている10倍も100倍もうれしいのよ。お父さんからのどんなプレゼントよりも、どんな行為よりも、これが一番、飛び抜けてうれしいの」

「では、それ以外にこれまで俺がしてきたことは何だったんだ!!」と思いつつも、ああ僕はこういうズレに、ずっと気がつかなかったんだなあとつくづく思いながら、いつもより力を込めて皿洗いをしていたような気がします。

(後記)今は、朝食と昼食の皿洗い(ただし自分の分だけ)と、夕食後の皿洗いの後にはキッチンの床の拭き掃除もしています(2022年1月10日記)。