金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「日本の社会は、創造的な人間を必要としているのですかね」:2018~2020年の今日(4月13日)に出会った言葉

(1)2020年4月13日  ·
日本では創造性が伸ばしにくいのでは―という問いに、ノーベル賞の江崎博士の「日本の社会は、創造的な人間を必要としているのですかね」という反問が、まことに痛烈だった。(1974年3月19日)
(「卵の底」『深代淳郎の天声人語』(朝日新聞社)p134)
本日の言葉:新聞休刊日には『深代淳郎の天声人語』を読むことにしています。引用文はその一部から。46年前の文章なのに、なぜか今も日本は同じ問題を抱えていると思いませんか?
ちなみに「難問集」(1974年2月15日付)には、「閉鎖主義、独善主義、前例主義、権威主義」との表現が(同書P132)。何だと思いますか?今の首相官邸?・・・残念ながら不正解です。当時の、何と大学の実態だった模様です。この分野はかなり進歩したみたいですね。

(2)2019年4月13日  
――是枝作品はよく「俳優が演じていないように見える」と評される。
是枝:隠し撮りしているわけではないので、ナチュラルと言われると、違和感がある……
「それまで」と「これから」が凝縮された瞬間こそが、リアルな時間だと思う。それを徹底的に追っていくと、一見ナチュアルに見える。人生がちょっとだけ切りとられているように見える。
(「俳優の真実とは? C・ドヌーヴ×是枝裕和対談 「演じる」は「遊ぶ」 現場でつかむ人生」本日付日経新聞

(3)2018年4月13日  
日本でも昔は、いまほどひどくなかったのではないか。戦前の首相広田弘毅を調べた作家城山三郎氏によると、広田首相は自分の家を売り藤沢に移ろうとしたとき、その買値が周囲の相場より安いと聞いて、これを断ったそうだ。「総理大臣」であるために割安な値で土地を手に入れることを潔しとしない、という政治家のモラルがあったのである。
(深代淳郎「政治家と政治屋」1974年2月13日付朝日新聞『深代惇郞の天声人語』p81より)