金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「私たちは、不正な行為や人道に外れたふるまいを前にすると怒りを感じる。…(だが)…。怒ると人間は、他人の自由を顧慮せずに自分の好みを肯定することがある」:出会った言葉:2年前~5年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(265)

(1)2年前の今日
 武士が外出するときは羽織はかまに大小をさし、人にきかれて昂然と答える目的がなければならなかった。あてもなくぶらつくのは、遊び人とご隠居さんだけだった。
 目的なしに歩くことは自分の知らぬ生活を垣間見て、世界を広げることになる。武士でよく散歩をした例外的な人物は勝海舟だそうで、長崎留学中に、オランダ人の先生の習慣を仕入れたという。海舟の頭が新しかったのは散歩好きによる、という仮説である。(1974年4月2日)
(「散歩好き」『深代淳郎の天声人語』(朝日新聞社)p136)
本日の言葉:本日は新聞休刊日だったので、『深代淳郎の天声人語』(一昨日【7日間ブックカバーチャレンジ】5日目でご紹介しましたた)を読んだらこの文章。46年前に書かれたものですが、全然古くない。この文章を励みに今日も散歩します。

(2)3年前の今日
たとえば私たちは、不正な行為や人道に外れたふるまいを前にすると怒りを感じる。怒りから、個人や組織の行動の過ちを指弾する例は少なくない。それはちょうど、倫理規範が往々にして硬直的に「やるべきこと」「やってはならないこと」を命じるのと似ている。だが怒りは、必ずしもよき助言者ではない。怒ると人間は、他人の自由を顧慮せずに自分の好みを肯定することがあるし、熟慮を怠ることになりやすい。 
(『良き社会のための経済学』ジョン・ティロール著、村井章子訳 p67)

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(3)4年前の今日
情報の氾濫する社会では、ありあまる情報はあるが、自分にとって確かで、必要な情報はかえって分からなくなる。
(「情報過多」1974年10月17日付朝日新聞『深代惇郞の天声人語』p295)
*これが今から44年前の感想なるが故に、かえって考えさせられました。

(4)5年前の今日
少年老い易く老人老い難し!?
(2017年5月7日付朝日新聞32面「加藤登紀子のひらり一言」)