(1)2年前の今日
武士が外出するときは羽織はかまに大小をさし、人にきかれて昂然と答える目的がなければならなかった。あてもなくぶらつくのは、遊び人とご隠居さんだけだった。
目的なしに歩くことは自分の知らぬ生活を垣間見て、世界を広げることになる。武士でよく散歩をした例外的な人物は勝海舟だそうで、長崎留学中に、オランダ人の先生の習慣を仕入れたという。海舟の頭が新しかったのは散歩好きによる、という仮説である。(1974年4月2日)
(「散歩好き」『深代淳郎の天声人語』(朝日新聞社)p136)
本日の言葉:本日は新聞休刊日だったので、『深代淳郎の天声人語』(一昨日【7日間ブックカバーチャレンジ】5日目でご紹介しましたた)を読んだらこの文章。46年前に書かれたものですが、全然古くない。この文章を励みに今日も散歩します。
(2)3年前の今日
たとえば私たちは、不正な行為や人道に外れたふるまいを前にすると怒りを感じる。怒りから、個人や組織の行動の過ちを指弾する例は少なくない。それはちょうど、倫理規範が往々にして硬直的に「やるべきこと」「やってはならないこと」を命じるのと似ている。だが怒りは、必ずしもよき助言者ではない。怒ると人間は、他人の自由を顧慮せずに自分の好みを肯定することがあるし、熟慮を怠ることになりやすい。
(『良き社会のための経済学』ジョン・ティロール著、村井章子訳 p67)
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(3)4年前の今日
情報の氾濫する社会では、ありあまる情報はあるが、自分にとって確かで、必要な情報はかえって分からなくなる。
(「情報過多」1974年10月17日付朝日新聞『深代惇郞の天声人語』p295)
*これが今から44年前の感想なるが故に、かえって考えさせられました。
(4)5年前の今日
少年老い易く老人老い難し!?
(2017年5月7日付朝日新聞32面「加藤登紀子のひらり一言」)