(1)本日
……みんなが口にする「危機」とは何なのか。石油だ、食糧だ、インフレだ、失業だ、経済成長率の低下だ、と意見はさまざまにある。しかし欧米にただよう灰色の心理風景は、もっと包括的なところに根ざしているように思われた。きのうのようには、明日の生活が維持できなくなるだろうという不安。それを知りながら有効な対策がありそうにないという無気力。言いかえれば政治や経済の危機というより、文明の危機だという根源的なとらえ方が強くある……。
(深代淳郎「心理風景」『深代惇郞の天声人語』p197より)
*引用文は1974年12月29日、つまり、今から48年前に発表された文章だ。インターネット等の発達によって今、目の前に見える現実的な危機が、本当に、我々の前に迫ってきているのかもしれない。
(2)4年前の今日
多数決で負けてもその迫力ある負けっぷりで国民に訴えるという態度は、多数派による「少数の尊重」と表裏一体のものだ。
(深代淳郎「下降史観」『深代惇郞の天声人語』p77より)