金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「おまえ、あの場面、意識してボール球を放ったやろ」:出会った言葉(3、4年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(145)

(1)3年前の今日
「調べればすぐわかるから」と覚えることを放棄した頭脳に創造性は宿るのか。
(「『記憶術全史』 桑木野幸司著―― 面妖な技法の消長たどる」2018年12月22日付日本経済新聞読書欄)

(2)4年前の今日
ノムさんは出てきた料理に箸もつけず、ひたすら野球の話をした。変なおっさんだなあ、と思いながら耳を傾けていると、前年のシーズン終盤の試合で2死満塁のピンチを迎えた時の話になった。ここで自分はわざとフルカウントから、内角高めにボール球を放った。見逃されたら押し出しだが、相手打者の心理を考えたら、ボール球でも絶対に振ってくる。そう確信しての配球だった。空振り三振。
ノムさんはたまたまテレビでこの試合を見ていたらしい。「おまえ、あの場面、意識してボール球を放ったやろ」。このおっさん、えらいところから切り込んできたな、と思ったときにはもう、引かれ始めていたのかもしれない。ノムさんは配球の意図をお見通しだった。(中略)
ノムさん、ついに一言も「一緒に野球をやろう」とは言わんかったなあ――。
(2017年12月22日付日本経済新聞 江夏豊私の履歴書」)

*「江夏の21球」の本人による回想は、25回(2017年12月26日)に出てきます。

www.nikkei.com

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