金融翻訳者の日記

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

大学生向けに産業翻訳の入門編を講じる③ー遅れてきた学生(後日談)

3日前、この春に2回講師をした大学から連絡が来た。

私の採点と講評を見た学生のうち一人から「自分の提出したファイルの内容が反映されておらず、ほぼ白紙の状態のままの提出になってしまった。メールで返却の評価を見て気が付いた。提出遅れという扱いでもよいので再評価してほしい」との連絡が来たとのこと。課題の提出期限は6月28日だったので零点になっても仕方がないという。
20人ほど採点/講評を書いた中に、極端に回答数の少なかった答案がいくつかあった。この学生もその一人で、なぜか1問目のみ回答が書いてあり、その後はほぼ白紙だった。

回答を書いてもらった場合には問題ごとに添削/講評を書いて点数をつけていたが、この学生は1問目のみ得点。それと僕自身の出題ミスで全員に配点(10点)していた問題があったので、その分を足して合計得点15点として、白紙部分には「テキストをよく読んで復習して下さい」と書いて返してあったのである(なお平均点は100点満点で87点だった。授業さえ真面目に聞いていれば楽勝で9割は取れる問題にした)。

もちろん見直させてもらうと返答したところすぐに彼の学生の答案が送られてきた。しっかりした内容で100点満点の92点。「よくできました」と講評して返却した。

今回の授業は6名の講師がそれぞれ2回ずつ授業をして課題を出す。学生は6回のうち最低3回の課題を提出し、運営側は得点上位3回分の得点を成績として記録するという形式。僕は個別の添削を求められておらず最初は与えられた得点シートに点数のみを記録して返却するつもりだったが、学生の答案を読んでいるうちに心情的に添削講評をしようと思い立ったわけだ。

で思ったのだが、僕の場合には答案を採点して返却したので学生はそれを見て自分が提出したファイルの間違いに気がついたけれども、これがなければ彼の得点は15点になっていたはず(もっとも彼は6回分全部提出したらしいので当初の15点はカウントされない)。

大学の期末試験ってこういうことがあり得るのではないかなと思った次第。

なお、この学生の感想欄の最後に次の記述があった。
「将来は私は産業翻訳に興味があるので、時間のある大学生のうちから英語の勉強さらには証券、金融の勉強をしたいと思います」

ここまで書いてくれた学生は彼だけだった。「遅れてきた学生」の、この一言だけでもやった甲斐があった。

とても嬉しかったです。