金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

フリーランスとしてのやりがいを感じるとき(2016年1月)

昨日は午後から突然忙しくなった。2件ともソースクライアントから。

(1)「鈴木さん、某国に関する投資レポート、今週中に出したいので明日の午後5時までになんとかお願いできないだろうか?」「量はどれくらいで・・・?」「いつものレポートで4ページなので1500ワードぐらい?」「了解です!」

他の会社なら割増料金になるところ、付き合い長いし向こうも焦っているのでそういう野暮なことは言わない。

PDFが来てワードに倒しワード数を数えてみたら2Kを超えている。さすがに他にもいろいろあって、しかも明日(つまり今日)午後5時に出かける予定があることを思い出す。やむなく電話。「実はワード数が2000を超えていて」外出予定の件も話す。「あ、そんなに多かったですか・・・うーん(向こうも無理な要求ということはわかっている)。鈴木さん、明日の午後5時までにどれだけできます?残りは私がやります

「・・・うーん。そうは言ってもできれば同じ人間が全部やった方がよいですし・・・Lさん、私の方からこんなことを言い出すのもどうかと思いますが、工程を1,2回端折ってもいいでしょうか?翻訳がやや粗くなるかもしれませんが」僕はソースクライアントのしごとは最低4回見直しており、そのことをお客様も知っている。「あ、その手があった。鈴木さんそれでお願いします。あとは僕の方でカバーします」「了解です」「助かった。翻訳会社を通してたら来週になるところでした」

(2)昨日の午後6時にB社からメール。
「鈴木さん、マーケットがこういう状況で、本部から下記コメントが出ました。明日の朝までに和訳をおねがいできないでしょうか、というご相談です。いかがでしょうか?」

すぐに先方に電話。「この200ワードですよね?」「すみませ~ん、こんな急に」「何時まで?」「9時・・・9時半でもいいです」「了解しました」

(1)(2)とも「下町ロケット」で言えば「帝国重工」みたいな会社です。そこが「個人」に注文を出してくれる。「なぜ個人に出すんだ?」という声は社内(特にグローバル・ヘッド)にもあるらしい。その圧力に抗して私に発注してくれている(実は、本を出しているという事実はこういう時に効きます)。心からの感謝とともに、フリーランスの醍醐味というかやりがいを感じた日でした。

ちょうど今、上の(2)を納品したところ。今日はあと(1)を頑張って、その後親しい編集者の方と新年会。頑張ります。