話すために相手の言うことを聞いていると、リスニング力が向上する―これは僕が思いついたことではなく、数週間前にSNSで目にした一言が気になっているうちに得た仮説だ。
オンライン英会話で自分が話すためには、先生の意見や質問を聴かなければならない。これはラジオを聴いたりテレビを見たりするときのリスニングとは異なり、ある意味で「能動的な」リスニングと言えるかもしれない。この「聴けるようになる」というのも、これまでわからなかった英米人の発音がわかるようになる、という意味ではない。なぜなら、いくら流暢でも、相手がフィリピン人なので発音の問題ではないからだ。つまりフィリピン講師と問答するために、彼らの「英語の言い回しや言葉遣い、そして彼らのメッセージを聴いて理解できるようになる」、と言う意味でのリスニング力なのだ。
僕はもう一年半以上、ほぼ毎日フィリピン人講師と30分間英語で話してきたが、自分の会話力がついたというはっきりとした自覚はなく、それがどう伸びたのかという実感もなかなか得られていない。だが自分が話すために相手の英語を聞く能力はついたのではないかという気がしている。その結果としてツイッター等で耳にする英米人の英語は以前よりもわかるようになったように感じている。
この感覚は錯覚かもしれず、またこの印象、というか仮説を検証する方法もない。ただし「話すために聴く」というのは、ただ漠然とリスニング力をつける以上に強いインセンティブになるように感じている。