昨年11月1日から正式に受講開始したオンライン英会話が4月いっぱいでちょうど半年たった。総括というか感想をいくつかまとめておきたい。
(1)この半年で170レッスン
レッスンカレンダー(というページが学校のウェブサイトにあるのです)を見たら、この半年で授業を受けなかったのは合計11日だった。カレンダー上では受講しなかった日は空欄となっているのみで、自分自身の都合による不受講と学校側の休講の区別がつかないのだが、自己都合が7日ぐらい。休講が4日ぐらいだったと思う。たいていは12時か~15時ぐらいの間に受けているのだが(これくらい時間の幅を持たせると、まず自分がお気に入りの先生を受講できる。こういう融通を利かせられるのはフリーランスの役得かも)、時に仕事や家庭の事情で17時とかに時間をずらすと「つい」忘れてしまうことがある。そういう日が7日あったわけだ。ドタキャンの場合、先生の受け取る講師料は変わらないらしいので、予約した僕が無断欠席しても経済的な迷惑はかからないがさすがに悪いので、なるべく次の授業は同じ先生を指名し、直接謝るようにしている。それができないときは本部経由でお詫びのメッセージを送ってもらっている。そんなこんなで半年なので、受講したレッスンは(半年を182日として)170レッスンぐらいかな。
(2)毎日続いた理由は「習慣化」
始める前は「毎日できれば安くなることはわかるが、続くだろうか?」と思っていたが、「日常生活の中に組み込まれてしまう」とまったく無理に感じなくなった。毎日昼ぐらいになると「今日は何かし忘れていないかな・・・あ、そうだ英語のレッスン、今日は何時からだっけ?」という思考パターンになる(そんなわけで、何らかの都合で時間を夕方にずらしたりすると忘れる)。問題ありません。始めればわかる。
(3)「お気に入り」で受講可能な先生は10名ぐらい
最初は仕組みも様子もよくわからす、試行錯誤で指名し始めた。当初は「毎日15時から」と決めておき、その時間帯で受講可能な講師のうち(たいてい50人以上はいる)、最も人気の高い(「いいね!」の数が多い)講師の中から選んで受講し、気に入ったら僕も「いいね!」をつけていった。ところが時間を固定すると、その時に受講可能な先生が限られてしまう。勢い同じ先生とばかりになりやすい。先生がすでに予約済みで受講できなくなる可能性も高くなる。そこで、仕組みにもなれたきたところで、普段は「12時~18時」の中で先生を探すことにした。自分が「いいね!」を付けた講師は「講師一覧」で色分けされているので、受講しながら選別していった。今、お気に入りの先生が15人ぐらいになったろうか?もちろん先生の入れ替わりもあるのだが、僕の中での上位10人はずっと続いています。
(4)受講する先生の「管理」方法
同じ先生に極端に偏らないように、受講する先生はエクセル上で管理している。・・・といっても大したしくみではない。①エクセルの上の行から順に先生の名前を書き入れる、②レッスンが終わるとその先生の行の右列に日付を加えていく、③その日付のコラムに前回授業日からの間隔を「10日」とか「8日」とか記入する。④その先生の行全体を先生リストの一番上に移動させる。すると最近受けていない先生はだんだん下に下がってくるし、、それぞれの先生を何日置きにうけているかもわかる。この方法はお勧めです。
(5)「フィリピン人講師」のメリット、デメリット
フィリピン人講師の英語学校を選んだのは授業料が英米人「ネイティブ講師」に比べて安かったから(英米人講師のおよそ半額)。「英語で話す機会ができれば」というのが受講前の期待値だったから、受講してみるとフィリピン人講師の皆さんのレベルは想像よりもはるかに高く、良い意味での誤算だった。
講師はピンキリだろうと高をくくっていたが、ほとんどが大卒以上で、おそらく(一部は本人に確認した)ほぼ全員が小学校からずっと英語で教育を受けており、地元の言葉を使うのはご家庭と地元の友人同士との会話ぐらいの模様である。小学校から高校卒業まで英語で教育を受けているという意味では「ネイティブ講師」と言ってよいだろう(僕自身は、「国籍人種を問わず、中学校から高校までのうち3年以上を英米の現地校で学んだ、学歴が大卒以上の人」をネイティブ翻訳者と理解している)。会話をしていても、講師の口からはストレートに(母語を経由しないで)英語が出てくる。事柄が複雑になってくると言いよどむことがあるが、特に問題ない。もちろん、お顔は「フィリピン人」なので、感覚としてはアメリカの大学で出会ったアジア系の学生と、互いに外国語である英語で話している感覚だ。もちろんレベル差は感じる。顔がフィリピン人だが発音も語彙もスピードも英米人並みという人もいれば、やや「フィリピン人訛り?」を感じさせる講師もいる。ただし授業料の安さも考えれば十分満足できる。
フィリピン人講師のデメリットは?いくら発音がよいと言っても生まれも育ちもフィリピンの若者なので、発音やイントネーションが英米人並みと言うわけにはいかない。それと、おそらく英米人の(つまり生粋ネイティブ)のプロ講師ならば、会話をしながら日本語の「てにをは」に至るまでチェックしてくれる(できる)はずだが、さすがにそこまではいかないようだ。一度、僕が最も優秀だと思っているフィリピン人講師に「たとえ僕の英語が理解できたとしても、表現が間違っていると思ったらその場で修正してくれ」と頼んだことがあるが、「それは難しいかも」と言われた(この講師はフィリピンの高校で、英語で政治経済を論じている講師)。お互いに言いたいことが理解できれば多少の間違いはスルーされるのが僕とフィリピン人講師との関係となる。ここから一段上に進む、つまり言葉の端々に至るまで細かくチェックしてもらうには、やはり倍以上の金を払って英米人講師の学校に移るべきなのだろう。
(6)教材はTOEFLレベルで、随時追加更新される
僕は「ニューストーク」というコースを選んで受講している。テーマごとの教材を読んで、それに基づいて会話するコースだ。教材はテーマ(政治経済、SDG、カルチャー、ライフスタイルなど多彩)ごとにロイター記事を若干易しくした、TOEFL教材レベルの700~800ワードの記事。僕の場合はそれを授業前の10分間で2回ほど読んで授業に臨む(辞書を引くことはまずない)。先生の前で数パラグラフ音読し、内容に関する定型の質問を受けた後で、テキストをきっかけにした僕の意見を聞かれてその後ディスカッション。1レッスンだだいたい1回か2回の授業で終わり、僕の場合は授業後にテキストを1~2度音読して復習終了、というのがいつものパターン。教材は「ニューストークコース ビジネス編(2022年11月版)全20レッスン」など数カ月ごとに更新されるので、教材がなくなることは考えなくてよさそう。
(7)意外なメリット(!?):季節の移り変わりに敏感になる
そうそう、授業の最初はたいてい「今日の天気は?」で始まる。11月に始まってから毎日「今日の(日本の)気温は7度」・・・が「今日は0度。ちょっと雪」・・・「今日は晴れてますが寒いです。気温は10度」とか進んできて、最近は「今日も晴れ。22度。気持ちいいです」がこちら側のセリフ。これに対し、フィリピン側はいつも「暑い!今日は30度(~35度)」。天気は「強烈な晴れ!」または「台風!!」ってな感じ。向こうの季節が全く変わらない中でこちらが変わっていくので、オンライン英会話を始めてから季節感が身に着いた感じがしています。
(8)スピーキングテスト
昨年12月からAI判定によるスピーキングテストが加わった。私のようなサブスク受講生は、1カ月に1回は追加料金なしで受けられる。時間は20分~40分(試験のでき具合で問題がどんどん変わっていくらしい)。これがなかなかに優れモノで、比較的長い英語を聴いてシャドウイングをするテストなどは「英語力を試されていうなあ」という気になってよい。
(9)英語(英会話)の実力はどれくらいついたのか
何が身に着いたかはピンと来ないが、英語を話すことに抵抗がなくなったことは確か。
もう一つ最近自覚した自分の中の変化がある。それは「悔しくて調べる癖」がついたことだ。
オンライン英会話にはさまざまな分野のテキストがある。僕は今、政治経済、SDG、カルチャー、ライフスタイルのコースをかわるがわる受講している。テキストを読み、基本的な質問に答えると、たとえば、「男女平等は日本ではどの程度すすんでいるのか?」とか「温室ガス削減のためにどんな努力が行われている?」とか「LGBTQの人々とどう接している?」といった質問をきっかけにディスカッションが始まる。つまりトピックスが強制されるわけです。僕のレベルだと実感するのは、自分があまり得意ではない分野や内容になると、とたんにシドロモドロになる、ということだ。知識としては知っていて絵も見えている。そしてそれに関する英語も知っているはずなのに、「その表現」が出てこないのだ。得意な話題はペラペラなのにね。これはかなり悔しい。そこで授業後に調べる。「あ~そうだったのか!」と思っても後の祭り・・・そんなことを何度も繰り返ししているうちに、元々知っていたはずの(読めばわかる)英語なのに、いざとなると、口から出かかっても出てこなかった英語が、少しずつ「溜まってきた」感じがあります。それが「進歩」ということかもしれません。
(10)オンライン英会話は「金を払ってあまり受講しない」会員で成立するビジネス
僕が受講しているのはkimini英会話。学研系列で安心感があったのと、何と言ってもても1カ月の受講料が(値上げ後で)6000円程度と格安なのが選択の理由。もっといろいろ探せばよい学校があったのかもしれないが、十分に満足しています。なんといっても、まず1回当たりの授業料が200円だからね。「これでビジネス成り立つの?」と思われるかもしれない。確かに、もし受講生の全員が僕のような受け方をしていたら経営は成り立たないはす。つまり、このサブスクリプション・システムって、「お金を払っているけれどあまり受講していない生徒」の受講料で成り立っているビジネス・モデルだなとつくづく思います。先生方は常にたくさんいるし、教材も充実している。バックオフィス体制にも十分満足しています(質問や要望をするとすぐに対応してくれる)。
(11)NHKラジオ講座で「耳慣らし、口慣らし」
フィリピン人講師との授業前に「耳慣らし、口慣らし」で年明けから始めたNHK英会話(テキストは買わず、音声のみ)もほぼ軌道に乗ってきた(忙しいと飛ばすことが週に1、2度ある)。だいたいレッスンの30分前からラジオ講座を15分聞いて、その後テキストの予習に10分ぐらい。準備してレッスン(25分)。レッスン後に学んだばかりのテキストを2回ぐらい読んで復習に5~10分かけて、その後に翌日のレッスンの予約をする。ここまででおよそ1時間10分、というパターンがだんたん定着してきた。このペースで進めていければと思っている。
(12)ご提案:大学(あるいは高校)のカリキュラムにオンライン英会話を導入する
以上半年の経験を踏まえて考えるのは、大学(あるいは高校)のカリキュラムにオンライン会話を導入したら学習効果が高まるのではないか、という仮説である。
すなわち、大学1,2年生の「基礎英語」のカリキュラムとして
①学生は任意の(あるいは学校指定の)オンライン英会話学校と契約を結ぶ。
②1年間で200レッスン(100時間相当)のレッスン受講を義務付け、その証拠を提出して単位を認定し、たとえば5段階評価の「3」(合格)を保証する。
③「オンライン英会話」の時間を1週間に1度設けて学生に進捗度を報告させる(任意)。同時にその時間を英語学習相談会にしてもよい。
④学年末にスピーチテストを実施し、成績が次第で「4」(優秀)または「5」(最優秀)の成績を付与する。
という授業はあり得るのではないか。学生は必要レッスンだけ、自分の好きな時間に、自分の好きなところで受講すればよい。コストはそれほどかからない。
教育関係者(特に大学教員)の皆様、ご検討を!