金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「(哲学は)真理を知ったと思い込む者が教壇で語るものではない」:2013年~2020年の今日に出会った言葉

(1)2020年の今日
中学生のころ、「真摯」という言葉に出会った。真面目でひたむき。「謙虚」という言葉も同時期だった。控えめで素直。言葉にふさわしい心と、ふるまいができなければ、とても恐れ多くて使うことができなかった。後に、他人の心中を推しはかる「忖度」という言葉も知って、感銘を受けた。家事手伝い 原田みち子さん(茨城県 72歳)
(「真摯・謙虚は損」の印象を危惧 2020年1月8日付朝日新聞「声」欄より)
*本日の言葉:本日の朝日の「声」欄へのご投稿、もちろん「謙虚な姿勢で、真摯に取り組み、丁寧に説明していく」と繰り返す某国首相の言葉使いを痛烈に皮肉ったご意見だ。「こうした姿を子どもたちはどう見ているのだろう」とも。僕はこれが真っ当な常識と理性をもった、普通の人の感想だと信じたい。しかし現実はどうなっているのか?こういう方をのさばらせておく他の政治家の責任は重い。マスコミの責任も。もちろん、そういう政治家たちの輩出を許している我々(民意)の責任はもっともっと重い。
よい1日を。

(2)2019年の今日
 最も偽造の少ない貨幣への信頼は、日本でキャッシュレス決済が普及してこなかった一因といわれる。行き過ぎた現金主義は、訪日外国人客の消費拡大や店舗の生産性向上にマイナスだ。これまでの強みが、一転して足かせに。成功体験が大きいほど変化への対応の容易ならざることも、インキの技術に透けて見える。
(「春秋」 2019年1月6日付日本経済新聞

(3)2018年の今日
哲学は誰も答えを知らぬ問いをめぐり延々と続けられる対話であり、真理を知ったと思い込む者が教壇で語るものではない。
(2018年1月8日付朝日新聞「折々のことば」より)
(感想)哲学だけじゃないよね。昨日の今日だから余計にそう思う。

(4)2013年の今日
・・・日本で「保守」というと、「墨守」と同じ意味合いになる。昔のものをそのままに、昔通りのやり方で守り抜く、といった感じが強い。だから「保守」すなわち「頑迷固陋(がんめいころう)」だ。
 イギリスの「保守」とは、変わらざるを得ぬ状況では変わること、だが慎重に、最小限に変わることをその内容にふくんでいる。理念に忠実であることを誇るだけでは、現実に置いてけぼりにされる。変化に対応し、現実に処理する必要のためには変わらなければならぬこともある。
  しかし急激に変えると、マイナスが大きかったり、ゆり戻しがくる。だから「変化」の必要は認めるが、「革命」の必要は信じない。歴史の酸いも甘いも知り尽くしたようなこの保守哲学は、黒白、是非、曲直でさっぱりいきたいわれわれの苦手とするところだろう(昭和49年5月1日) 
「保守哲学」『深代惇郎天声人語

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