金融翻訳者の日記

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

いわゆる「写経」(原文と訳文の手書きでの書き写し)について(3)(最終回)

(10)音読について

実は音読はもう10年以上続けていて、その内容についてブログ(長続きする自己啓発「翻訳ストレッチ」ー毎朝、仕事前に、手広く、コツコツとー(『翻訳事典2018-2019』から))に書きましたので、ここでは書き写しとの違いについて感じていることを挙げ、その後、今トライしようとしている翻訳ストレッチの内容変更(テキストの変更は普段からやっているものの、スタイルを少し変える)について書いて置こうと思います。

http://tbest.hatenablog.com/entry/2019/10/09/105212

 

僕が実践している、翻訳を意識した原書と訳書の音読には2種類あります。

 (a)1文ごとの音読と「その場暗記」

一つは、『世紀音空売り』でやっているような、一文ごとの音読(原書と訳書)。一文原書を読んで、一文訳書を読む。そして疑問点を片付けたら「その場暗記」をします(詳しくはブログをご覧下さい)。必要があればメモするという点は写経と同じ。なお、『世紀の空売り』は原書、訳書ともに紙の本です。意味合いとしては写経と下の②に紹介した段落ごとの音読、の合間のような感じでしょうか。

 (b)段落ごとの音読。

原文と訳文を段落単位で読みます。前回、書き写しの時には文章の流れを見失ってしまうと書きましたが、昨年から写経を始めて、段落以上の全体の流れを意識して読むようになりました。原文を読んでいて、すっと分かるときも分からないときもあります。次に訳書を音読してそこを確認します。

必要があればメモを残すというのは写経と同じですが、残す先は訳書の余白です。今の翻訳ストレッチでは、『21世紀の資本』『浮き世の画家』『特急二十世紀の夜といくつかの小さなブレークスルー』がこれにあたり、(a)と(b)を1日置きに取り組んでいます。「写経が1日置きになる」と書いたのはそういう意味です。なお、このうち『21世紀の資本』の原書はKindleです。

 

(12)訳書以外の音読(と黙読)について

①ブログでも紹介している日本語の音読です。日本語として美しいと思う日本語を音読しようという意図でこれまでもずいぶん多くの本を読んできましたが、最近は「美しい日本語を音読する」意味合いに加えて、書店や本屋で見かけて思わず買ってしまったものを、少しずつでも(音読でも黙読でも)読もう、として読んでいる本に大きく色分けされてきました。今は、音読が『言語表現法講義』加藤典洋著(岩波書店)、『スローカーブを、もう一球』山際淳司著(角川文庫)、『思考訓練としての現代国語』棟 明郎著(育文社)、『井上陽水英訳詩集』ロバート・キャンベル著(講談社)の4冊、黙読が『心の傷を癒やすということ』安 克昌著(作品社)、『室内生活 スローで過剰な読書論』楠木県著(晶文社)『僕は翻訳についてこう考えています 柴田元幸の意見100』柴田元幸著‘(アルク)『ニュータイプ時代―新時代を生き抜く24の思考・行動様式』山口周著(ダイヤモンド社)『斎藤秀三郎伝―その生涯と業績』(吾妻書房)の5冊です。

 

②ここ3カ月ほど、Time誌の音読に取り組んでいます。5~10分です。写経にせよ、こここまで書いた音読/黙読にせよ、すべて日本語が介在しています。そこで、英語だけを読む時間を設けることにした訳です。最初は5分でしたが、せいぜい1ページなので、せめて2ページは読みたいなあと最近は時間を延ばしています。

 

(13)今後の組み換えについて

以上が写経と音読(黙読)について現在私が取り組んでいることの概要です。今、僕が考えているのは、写経(『帳簿の世界史』)を毎日やり、一文ごとの音読(『世紀の空売り』)と段落ごとの音読(『21世紀の資本』『浮き世の画家』『特急二十世紀の夜といくつかの小さなブレークスルー』)を交代にする、という案。こうすると『世紀の空売り』が4日に1度となってしまい、悩みどころです。

 

以上が書き写しと音読に関して僕が実践している内容です。皆様の日々の学習活動に何らかの参考になれば幸いです。

 

なお、ツイッターで「翻訳ストレッチ」と検索していただくと、何人かの皆様がご自分の翻訳ストレッチの簡単な内容(教材等)をお書きになっています。もちろん僕も毎回使っている教材と簡単な内容を毎日書いています。一緒に学んでいる皆さんに何かの参考になればと思って10年ぐらい続けています。ご興味のある方は覗いてみて下さい。

 

では!!