金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

知りたいのは当たり前の正論ではない(2014年4月26日)

夕食後にK米宏が司会、壇Mがアシスタントの本紹介番組を見て失望する。ゲストが悪かった。ホテル一筋35年。某一流ホテルの社長を務めた方が、自らの豊富な経験を元に書いたサービスに関する本を紹介したのだが、内容の平板さにガックリくる。

「おもてなしの心」だとか「お客様第一」はホテルに限らずどこでも最も大事。そんなことは頭では誰でもわかっている。この単純だがなかなか続けられない(心の姿勢)をどうやって日常生活の中に染みこませ役職員全員の実践に結び付けるのか?

「1日なら誰でもできることを3日、3ヶ月、3年、30年続ける」(←僕の目標)にはどうすればよいのか?読者(視聴者)が知りたいのはそこなのに、「うちのホテルではこういう工夫をしてきた」「サービスとはこういうこと」と自分のホテルが示したちょっとした工夫でお客様を感動させた話をされても聞かされる方は鼻白む。

「中東から来た女性のお客様は赤ワインを注文する人が多い。ただしコーヒーカップで(おおっぴらには飲めないから)。他のホテルはそれだけなのだが、我がKホテルではその横に空のポットを置いておく」おお、何て素晴らしい心遣い!

ではなぜ皆そういう心遣いができるの?普段どういう心がけでお客様と接しているの?どういう仕組みや教育訓練をしているの?そういうことに対する説明はなーんにもない。唯一面白いと思ったのは従業員一人当たり1日2000ドルの決裁権という仕組みぐらい。

というかこの業を35年も続けてきてこの程度の話しか(しかも得意そうに)できないの?この人の人生なんだったの?とガッカリした。僕は途中で寝ちゃったし、妻なんか「お父さんもう消そうよ」と夕食の後片付け始めてたもんね。新聞評で「地上波には乗りにくい番組」というのはこういう意味だったのかしら?「ああいう風にはなりたくない」という反面教師として受け取ることにしよう。

番組について唯一感心したのは、あのつまらない話をいかにも大層なことのようにうなずく久M宏さんの忍耐力と、壇Mさんが意外と(?失礼)真面目で勉強家だったということです。番組の雰囲気がよかっただけに実に残念だった。