金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「プラスはマイナスから書き始める」:1月14日に出会った言葉

(1)2024年1月14日
後悔の多い人生こそ充実していると思っているんです。甲乙付けがたい局面、難しい状況にたくさん出会っているという証ですから。羽生善治さん
(「藤井聡太のいた時代」2024年1月14日付朝日新聞

(2)2020年1月14日
「人に説明できなければ、上達しない」 今永昇太投手(DeNA
(「オリパラ人物館 わたしのイチオシ―感覚も決意も 言葉に乗せる」2020年1月14日付朝日新聞スポーツ面)
*本日の言葉:引用部の前の文章は「今永ほど一つひとつの所作に意味を持たせて、それを言葉で表せる選手に出会ったことはない」。職業によって濃淡はあるかもしれないが、翻訳には(特に実務翻訳には)当てはまると思ったのでメモしました。

(3)2019年1月14日
「大人になる」とは自分以外の誰かを支え、見守る役割も担うということかもしれない。
(「春秋」 2019年1月14日付日本経済新聞

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(4)2018年1月14日
プラスはマイナスから書き始める
(友達から 藤川なぎささん 高校生)
(2018年1月6日付け朝日新聞26面「その一言のチカラ 私の折々のことばコンテスト」)より



「指導者には理論もさることながら、人をその気にさせる力が必要だ」:2015年~2019年の今日出会った言葉

(1)2019年の今日
 以前、年配者が近くの公園に保育園が建設されると騒がしいから反対している、というテレビ番組を見たことがあって、子どもの声がして楽しいのではなく、うるさいと思うなんてと驚きました。そういう高齢者はきっとまだまだエネルギーも十分あって、自分たちの側から世の中を見ているのでしょうね。それはそれですばらしいけれど、大人として成熟していないとも言えます。子どもの声を楽しいと思わないなんて、いつから日本はこんな国になったのかなあ、寂しいなあ。
(『いっさい成り行き~樹木希林の言葉』p37) 

(2)2018年の今日
深呼吸一つで、緊張を興奮に変えてゆけ
(2018年1月6日付け朝日新聞26面「その一言のチカラ 私の折々のことばコンテスト」)より

(3)2017年の今日
「受験会場の開場時間を調べ、その時間に会場に入るようにすべし。私が予備校教師時代から生徒たちに強く薦めていた鉄則です。試験当日の朝に何より大事なのは時間と心の余裕をもつことだから」
*昨日聴いたラジオ番組で、ある若手経済評論家が言っていました。受験生にはすでに常識かもしれませんが、念のため。頑張れ受験生。

頑張れ受験生と親たち。

(4)2015年の今日
全然打てないのに「この調子ならホームラン王」とか「三冠王になれる」とか真顔で話す。何度も繰り返されるうちに気持ちよくなって、練習が苦にならなくなった。
 練習の初めと終わりのメリハリもあった。飲んだあと荒川道場で一振りするとまず「昨日良い感じだったのに、もう忘れたのか」。これで酔いも冷める。最後は必ず「よーし、それだ。キング間違いなし」。私は安心して眠り、気分よく新しい日を迎えられた。
(中略)
 指導者には理論もさることながら、人をその気にさせる力が必要だが、残念ながら私自身は荒川さんのような「乗せ上手」になれなかった。
(引用終わり)日本経済新聞2015年1月13日「私の履歴書王貞治

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「安易に振りかざされる正義は、回り回って自分の首を絞めてゆく」:2018年~2021年の今日に出会った言葉

(1)2021年の今日
根拠など気にしたら、自信は持てない。だって経験がないのだから。しかしその自信はどこかでくじかれる運命にある。だって根拠がないのだから。それでも何かエンジンを身につけることで、人は前へ動き出すことができる……。
(「天声人語」2021年1月11日付朝日新聞
*本日の言葉は、成人を迎える若者たちへの激励文ですが、自分への喝とも考えたい。

(2)2020年の今日
① 演技は上手いけど、努力できない人と、演技は下手だけど努力を続けられる人がいたら、私は努力を続けられる人を選びます。 渡辺万由美さん(トップコート社長)
(「プロフェッショナル 仕事の流儀 芸能プロ社長 渡辺万由美」NHK)*僕の聞き書きです。
② 役者の成功には、もって生まれた才能、運、一生懸命頑張る姿勢が必要と考える。前二者は自分ではわからないから、頑張るしかない
(「仲代達矢87歳の喜劇 「反骨の芸術」伝える不屈の闘志」2020年1月11日付日本経済新聞
③ 努力は夢中に勝てない  ビームス社長 設楽洋さん
(「My Story ビームス社長 設楽洋さん」 2020年1月12日付日本経済新聞
*同じ言葉を引用している下のURLは「幹部全員から辞表 ビームス社長が選んだ道は」 ビームス社長 設楽洋さん」 2020年1月17日付日本経済新聞
**ここ数日たまたま「努力」に関係する言葉を見つけてメモしていたら3つたまったので。設楽さんの言葉は、夢中になって努力することの素晴らしさを語っておられると思いました。

(3)3年前の今日
 「自制心を保つこと」の反対は、「なんの抑制もなく制度的な特権を行使すること」である。法律学者のマーク・タッシュネットは、この行動――ルールに則ってプレーはするが、その限界を攻めてきわどい勝負に出ること――を「憲法違反ギリギリの強硬手段」と呼ぶ。これは、二度と立ち上がれなくなるくらい徹底的にライバル政党を叩きのめすことを狙った制度上の闘いであり、民主的な試合を続けることなどまったく無視した行為である。
(『民主主義の死に方』レビツキー/ジブラット著、濱野大道訳、新潮社、pp140-141)

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(4)2018年の今日
安易に振りかざされる正義は、回り回って自分の首を絞めてゆく。木ノ戸昌幸
(2018年1月12日付朝日新聞「折々のことば」より)

ビジネスに役立つ経済金融英語 第7回:Time誌が選んだ「2021年 今年のことば」

Time誌というと、「今年の人」が注目されますが、ビジネス英語教育界で超有名なQ-Leap様ウェブページの連載では、そこから少し外して「今年の言葉」を選びました。

下のページに行くと、これまで6回の記事も見られます。どうぞよろしくお願いします。

 

q-leap.co.jp

「生きてるだけで丸儲け」:「一番いい日」(1月11日)に出会った言葉

(1)2024年1月11日
CPIが予測通りに落ちなかったのはなぜか。・・・(中略)・・・筆者の答えは極めてシンプルで「日本人のインフレ予想が上昇したから」だ。(経済教室「『2%』定着へ所得補塡強化を 物価の現状と展望」渡辺努 2022年1月11日付日本経済新聞

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(2)2021年1月11日
言葉の扱い方は、そのまま私たちの世界に対する整理の仕方、認識の仕方を表しているのだ。
(出口汪著『出口のシステム現代文<ベーシック編>』(水王舎)P14)
*出口さんの本は前から気になっていた。成人向けの論理や文章の読み方の指南書をだしていますが、ここは一つ基本に立ち返って<ベーシック編>を読んでみることにする。(後記:現在は「バイブル編」をゆっくり勉強しています(2022年1月11日))

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(3)2020年1月11日
① 一人の誰かに手紙を書くように本をつくる。 夏葉社社長 島田潤一郎さん
(「著者に会いたい 『古くて新しい仕事』―時代超え小さな声届ける」2020年1月11日付朝日新聞
② 嘘をつかない。裏切らない。自分だけが得をしようとは考えない/具体的な誰かを思って(本を)つくる。 夏葉社社長 島田潤一郎氏
(「あとがきのあと 『古くて新しい仕事』―ひとり出版社切り盛り10年」2020年1月11日付日本経済新聞
* 今日の日経と朝日の読書欄の著者に聞くコーナーが偶然同じ人だったので。重なることは極めて珍しいような気がします。一人出版社を経営する方の生き方を知りたいと思ったので、購入しました。
『古くてあたらしい仕事』島田 潤一郎著、新潮社 (2019年) 

(3)2019年1月11日
「生きてるだけで丸儲け」 明石家さんまさん
(『動じないで生きる――求めず、期待せず、依存せず、気にせず』(矢作直樹著、幻冬舎)p21)
*本日の「言葉」そのものは知っていましたが、『動じないで生きる』によると、娘さん(いまるさん)の名前はそこからの命名だそうです。 

(4)2018年1月11日
自然は隠れることを好む。そのうえ絶え間なく動いているので、こちら側が動きを止めないと、そのほんとうの姿を見せてはくれない。
(「福岡伸一動的平衡」2018年1月11日付朝日新聞35面より)

rather の整理(『翻訳力錬成テキストブック』課題1-4から)

課題1-4の[研究]「ratherの意味」は頭の整理に非常に役に立つ。
(以下、ほぼほぼ*引用)

総論
(1)好ましくない形容詞/副詞(bad, stupidly, uglyなど)と共に使われる(この逆がfarily)  

各論
(2)比較級やlike、alikeの前は「いくぶん」「やや」の意味。
(3)good、well、pretty、cleverなどの好ましい形容詞/副詞の前に来ると、veryの控えめな表現になる。She is rather clever. (なかなか利口です)。
(4)次に来る形容詞が強いものだと語調の緩和に働き、弱いものだと強調に働く。
The effect was rather amusing. (その効果は驚くべきものであった)
rather small apples(だいぶ小さなリンゴ)
(5)動詞enjoy、動詞likeの前にくると「むしろ」「どちらかというと」の意味になる。 I rather like the smell of of petrol. (私はどちらかというと、ガソリンの匂いが好きです)。
(6)A rather then Bの形では、9割方「BでなくA」の訳の方が(「AよりもむしろB」よりも)ふさわしい。
(ここまで:柴田耕太郎著『翻訳力錬成テキストブック』(日外アソシエーツ)p25)*鈴木が自分の理解に合わせて一部加筆修正しています。

本書の課題は100問あって、それぞれにタイトルはついているのだが、原文、訳文の後に非常に参考になる文法事項が多いにもかかわらず、目次にも出ておらず、索引にも見当たらない(索引は単語ベース)。これは非常にもったいないと思う。

勉強が2巡目に入っていることもあり、自分にとって参考になりそうな文法事項を可能な限りシェアしていきたい。

「美しい服は、裏地も美しい」:1月10日に出会った言葉

(1)2020年1月10日
アメリカには「英語は母語なのだから、自然に身につく」という先入観がない。
(「新井紀子のメディア私評」2020年1月10日付朝日新聞

 本日の言葉は、OECD経済協力開発機構)の実施する「PISA」という試験で日本の読解力が落ちたという記事を受けて、いつか新井先生が書かれるのではないかと思っていたら今日見つけた。

特に新井先生が注目したのは、日本の順位がついに移民大国のアメリカ以下に落ちた、という点。そして引用句に続く。日本では、日本語はできて当たり前という前提で国語教育が組み立てられているが、本当にそれでよいのか?という問題提示だ。

「記述式試験の答え合わせをする」とか、「口答の指示をメモする」といった(それ以外にも製品の取扱説明書などを読むことなど)「当たり前のこと」もできないのに、国語=文学と考えて、国語科から文学が消えると騒いでていいの?と彼女は言いたいのだろう。僕はお役所は嫌いだけれども、国語の選択科目を「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典探求」に再編成するという今回の国語教育改革は正しい方向だと思う。

数カ月前の文芸誌は一斉にこれを批判し、日本経済新聞にも昨年「国語も「トリセツ」重視? 文章の海は豊かなのに」(2019年10月20日)という記事が載った。この記事は「たしかに読解力不足は深刻だが、いささか前のめりではないか。批判が噴出しているのも当然だろう」という一文で結ばれるが、僕はこの見方に反対だ。読解力不足は本当に深刻なのだ。文学と「国語」は違うのだ。きちんと日本語を読み書きできる教育に目を充て、日本文学を音楽や美術、工芸と同じ位置に置く時代が来たのだ、と捉えるべきだと思う。

(2)2019年1月10日
それをすること自体が面白いのが趣味。プロセスを楽しむのだから急げば興も削がれる。仕事もそんなふうになればよいのに。
(「折々のことば」 2019年1月6日付朝日新聞

(2)2018年1月10日
美しい服は、裏地も美しい
(祖母から 久保田舞香さん 中学生)
(2018年1月6日付け朝日新聞26面「その一言のチカラ 私の折々のことばコンテスト」)より