(1)2020年12月30日
読書に限らず、大切なものほど事後性が高い。逆に言えば、「役に立つ」ことが事前に容易に分かっていることにはたいした価値はない。すぐに役立つものほどすぐに役立たなくなる。事後性の克服は人生の一大テーマといってよい。では、どうするべきか。それは読書しかない。
(楠木健著『室内生活 スローで過剰な読書論』(晶文社)p374))
本日の言葉は、鹿島茂著『大読書日記』(青土社)を推薦する楠木さんの言葉。「理由は聞くな、本を読め」というまえがきに痺れたとのこと。明日も含めれば今年は366日。このうち①毎朝のトイレ掃除(364日)、②翻訳ストレッチ(362日)、③お仕事(350日ぐらい)だと思います。トイレ掃除をしなかったのは、2月初め(コロナが本格化する前のギリギリのタイミングでした)に家族で3泊4日に旅行に行った時の1泊目と2泊目の朝(家にいなかったから)。際翻訳ストレッチは仕事の準備運動のつもりでそうつけましたが、もはや日常生活の一部化しているので、明日ももし気分が乗ればやるかも。今日は、あと2箇所に請求書を書いて、その後年賀状書き(例年より1日早い)、連れ合いに付き合って買い物に行く予定です。
(2)2019年12月30日
「警察・裁判所の機械学習利用はアメリカで炎上しています。放っておけばアルゴリズムは犯罪予測精度が上がることなら何でもするので、統計的差別をしまくるレイシスト/アルゴリズムがあっというまにできあがるからです」成田悠輔さん(イェール大学助教授、スタンフォード大学客員助教授)
(「デジタルと機械学習が社会を変える 対談:上野山勝也vs成田悠輔」『経済セミナー:特集「機械学習は経済学を変えるのか?」』(2019 12/20201号)P17、日本評論社)
引用文は、アルゴリズムとか機械学習の公平性に関する議論。手前味噌になるが「どこで犯罪が起きているかについての情報は統計的に偏っている可能性が高く、アルゴリズムの指示に従って、犯罪通報率の高い場所に多くの警察官が派遣されると、その偏りに拍車がかかる……そうなるとアルゴリズムに入力される逮捕データが多くなり、偏ったフィードバック・ループができる。アルゴリズムの仕組み上は、その付近の犯罪発生率が高いという予測の正しさが裏付けられたことになり、当初のバイアスが強化される」(『FUZZY-TECHIE(ファジー・テッキー) イノベーションを生み出す最強タッグ』P79スコット ハートリー著、鈴木立哉訳、東洋館出版社)と、データそのものに潜む先入観の危険性を指摘している。人間が選択し入力する教師データがいかに重要か、ということではないかな。
今年も、思いつきの、推敲もしない殴り書きのような文章に毎朝お付き合いいただきありがとうございました(仕事前に、即興で文章を書く訓練の場としています。その意味ではこれも「翻訳ストレッチ」かな)。
2019年は、私の訳す分野ではECBのドラギ総裁の退任と、ボルカー元FRB議長の死去が大きなニュースだったと思います。現在、日本会議通訳者協会のホームページで金融英語についての連載(ただしいつ書けるかわからないので「不定期」)を持たせて頂いています。来年はこのお二人についての基礎知識を少し整理していきたいと考えています(その前に「スラックから考える失業率(2)」が出る予定・・・一昨日、予定より2カ月後れで原稿を出したので(恥))。
明日から3日までお休みします。年賀状も明日書きます(もう減らそうと思っているが)。
(3)2018年12月30日
……「ファシズム」のむずかしい定義は知らないが、雰囲気がファッショ的だと思うときには、特徴がある。
第一に、世の中、大変だ、大変だ、と絶えず緊張感をあおること。第二に、内容のとぼしく、あいまいな言葉を何度も、何度も、人の耳に吹き込むこと。人間の理性より、情緒に訴えた方が都合が良く、手っ取り早いというファシズムの手口がある。(1975年4月12日)
(「ファッショ論争」『深代惇郎の天声人語』p105)
(4)2017年12月30日
歌を作るときにメロディーが入ったテープが届く。聴いているうちにあるメロディーがどうしてもこの言葉でなければダメだって言葉が浮かんでくる。もうほとんど言霊に近いような感じで。しかしそれは理屈に合わない言葉が浮かんでくるものですから、最終的には退散願わなくてはいけない。・・・サザンオールスターズの桑田佳祐さん。彼が羨ましいと僕は思う。浮かんだ言霊をそのまま歌っているから。
(NHKザ・プロファイラー~夢と野望の人生~「“時代”と闘い続けた作詞家~阿久悠~」から。サザンオールスターズに衝撃を受け時代の変わり目を感じた時について)