(1)2019年6月9日 ·
「研究者はみんなそうでしょうが、寝ても覚めても研究のことを四六時中考えている。でもピアノ演奏にしても野球にしても、その最中にほかのことが頭にあるとミスタッチしたり空振りをしたりしてしまいます。否が応でも仕事のことを忘れざるを得ない趣味があるのは、自分にとってはとてもいいことだと思います」小松栄一郎さん(マックスプランク宇宙物理学研究所所長)
(「My Story」本日付日本経済新聞)
*本日の言葉。僕にはそういう趣味がない。仕事が趣味となっていることが問題かな。卓球でも再開しようかしらと思ってもみたり。なお、小松栄一郎さんの書いた学術論文は2009年と2011年に、すべての分野の学術論文の中で引用回数世界一だったそう。
(2)2018年6月9日
よく理解できないこと、理解したくないことに線引きをしカテゴライズするということは、ときに、ものごとを一面化させる。その一面の裏に、側面に、奥に何があるのか、考えることを放棄させる。善だけでできている善人はおらず、悪だけを抱えた悪人もいないということを、忘れさせる。良い人が起こした「理解できない」事件があれば、私たちは「ほら、悪い奴だった」と糾弾できる。なんにも考えず、ただ、正しい側にいるという錯覚に陶酔することができる。そんな、シンプルで清潔な社会への強烈な違和感がこの映画から立ち上ってくる。
(角田光代「理解できぬ世界は悪か―『万引き家族』 私たちと彼ら 線引きする社会で」昨日付け朝日新聞より)