金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「人間は誰しも生きてきた年月だけ『自分自身』を演じている」:2018年~2021年の今日に出会った言葉

(1)2021年の今日  
人間は誰しも生きてきた年月だけ「自分自身」を演じているので、自分を演じる限りあらゆる人間は「名優」になり得る。……是枝はおそらく、このことに極めて自覚的だったのではないだろうか。(相田和弘「是枝映画におけるドキュメンタリーの手法」『総特集 是枝裕和―またここから始まる』p105))

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本日の言葉は、是枝裕和監督作品『ワンダフルライフ』論。これを読んでDVDを借りて正月休み中に観ました。是枝さんはこの映画のために600人に「これまでの人生で最も幸福だった瞬間」についてインタビューした後何人かを選び、改めて彼ら彼女にインタビューし、その様子を映画の設定(亡くなった人が天国の入り口で『自分の人生で最も幸せだった思い出』を語る)に組み入れてしまったのだという。ARATA、寺島晋、伊勢谷友介木村多江香川京子などプロの俳優が何人も脇を固めているので、ご覧になっていない方は是非。

(2)2019年の今日
才能や知性は平等に分配されていないのだから、個人の自由は必ず不平等を生む。自由社会ではこの出生の偶然から起こる不平等をどう軽減させるかが問われている。ニーアル・ファーガソンさん(ハーバード大学ベルファーセンター上級フェロー)
(「逆境の資本主義 ファーガソン氏「金融危機からの回復、注目すべき」2019年1月1日付 日本経済新聞

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皆が同じ条件で生まれている訳ではない。だから社会はその不平等の縮小に向けて手立てを講じるべきだ、その意味からの自由の抑制はありだ、というファーガソン氏の主張には考えさせられました。

今年の目標はただ1つ。「生活に空白をつくること」。
「絵も同じ。私は絵を描くときにはかならず空白を作るようにしているの。空白のない絵はつまらない。深みがないのよ」という相方の言葉に触発されました。
よい1年を!

(3)2019年の今日
「使う言葉をだんだん少なくしていって、最後はただ座っているだけ。黙ってニコニコしていると、なにやらお客さんも楽しくなってきてニコニコする。そこにいるだけでいい、てなことですかねぇ」。 (理想の高座について尋ねられた桂枝雀さんのお答え)
(「春秋」 2019年1月4日付日本経済新聞
*多くの皆さんは今日が仕事始めでしょうか。年初ですから気を引き締めて!と言いたいところですが、ついつい「緊張しい」「しすぎ」の自分を今年は改めたいと思っているので、「気を緩めて」行きたいとおもっています。

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(4)2018年の今日
発想力、広い枠でのパターン認識、極めて複雑なコミュニケーションは、人間が(注:コンピューターに比べて)比較優位を持つ認知能力の分野であり、この優位はしばらく動かないと考えられる。だが残念ながら、こうした能力が現在の教育において重視されているとは言いがたい。(『ザ・セカンド・マシン・エイジ』ブリニュルフソン&マカフィー著、村井章子訳(日経BP社 2015年)p313

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