金融翻訳者の日記

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「こんなところにシミがあったらやだろうな」が技術の向上につながる:出会った言葉(昨年88年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(57)

(1)昨年の今日
「どんな映画が良い映画ですか?」とよく聞かれる。……「劇場を出たときに始まる物語を持つ映画」或いは「答えではなく問いをくれる映画」と答えた。
(「生きて映画を見られることが“幸せ”と教えてくれた作品」ヤン・シオン(釜山国際映画祭 執行役員 『総特集 是枝裕和―またここから始まる』(河出書房新社)p74)
*映画の見方にも色々あると思いますが、僕はヤンさんのご意見に賛成します。僕にとって是枝監督の映画の多くは「問いを与えてくれる映画」です。時に「救いがない」と思って落ち込むこともありますが、見て後悔したことはありません。ただ、テーマが重すぎて、すぐにまた見たい、何度も見たいとは思わない。

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(2)2年前の今日
米国の経営学の概念を受け売りする日本という関係は、残念ながら今もあまり変わらない。…… 日本の経営学は一言で言えば「解釈学」に終始してきた。海外の学問を紹介し、解釈するのが学問とされてきた。できあがった理論や手法を「ハウツー」として吸収するばかりで、日本からはなかなか面白い概念が出てこない。
(「手本は米企業 「リベンジ」の誓い 再び 管理手法を経営幹部に研修」野中郁次郎 私の履歴書 本日付日経新聞
*これは、日本の経営学だけの問題だけではないと思うし、よく言われるポイントだけど、それをおっしゃっているのが野中さんだと重い。オリジナルを工夫してよくするのもオリジナリティなのだけれど、「ゼロ→1」ではないですものね。僕は自分で本を書いたときにそれを痛感した。

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(3)3年前の今日
翻訳家は、翻訳をすればするほど、ますます浮力がついたような状態になってしまう。 マイケル・エメリック
 翻訳をする際には、一つのモノ、一つの事態をめぐりいろんな言葉がよぎる。物事が言葉との密着を解かれ、「少しだけ、浮いて」くると、日本文学研究者・翻訳家は言う。
(鷲尾清一「折々のことば」 2018年9月7日付朝日新聞

(折々のことば)1221 翻訳家は、翻訳をすればす…:朝日新聞デジタル

(4)4年前の今日
誰だって人間に点数をつけようとするとあんなつまらない顔になる。 松本隆
(本日付朝日新聞「折々のことば」より)

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(5)8年前の今日
「終わりまで見通しがないままに制作に入る作品ばかりで、スケジュールを含めて毎回つらかった。(結末が)どこにたどりつくか分からないままスタッフもよく我慢してくれた。絵コンテを毎日のように描き、(スタッフが描いた)カットを見てああでもないこうでもないといじくる。生産性に寄与しないやり方だが、その過程で映画の理解が深まったのも事実だと思う」(引用終わり)
(「宮崎アニメ、子どもたちに伝え続けたメッセージ」2013年9月7日付の日本経済新聞

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(6)8年前の今日
以下は9月4日のテレビ番組のメモから。
「技術とは感性」=「技は心」。こんなところにシミがあったらやだろうな、とか、もっときれいにしてあげたい、とかね。それが技術の向上につながるんです。だから、思いやりのない奴の仕事っていうのは感動しない。満足はしてもらってはいるかもしれないけど、感動してもらっていない。/ここまで:吉田武(クリーニング師)