金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

わくわくするようなことはたいてい寄り道の途中で起こる:出会った言葉(昨年~9年前の今日、FBお友だち限り投稿への書き込みより)(91)

(1)2年前の今日
① 面白いデータがある。RST(注:リーディングスキルテスト)のこれまでの調査結果から、中学生は学年が上がると全体的に正答率が上昇することが知られている。一方、正答率が上昇しても回答数はそれほど増えないのだ。読める生徒は決して速く読んでたくさん回答するとは限らないのである。
② 読解力を向上させる魔法のような処方箋はなく、普段の生活の中で、ゆっくりでも正確に意味を理解しようと心がけることがまず第一歩になると言うことだけは自信を持ってお勧めしたい。①②ともに、菅原真悟さん
(『AIに負けない子どもに育てる』①②ともにp314、新井紀子著、東洋経済新報社
*菅原真悟さんは新井紀子さんの弟子で、5年間マンツーマンで博士論文指導をして、共同論文を執筆しながらもまともに読み書きができるようにならなかったが、RSTの作成に関わってもらったら飛躍的に伸びた。そこで本人の了解を得て実名入りで手記をかいてもらったとのこと。

ここで言われていることは結局、意味を考えながらゆっくりと読む、ということの重要性だ。その手法として音読と手書き写しは有効な手段だろうと僕は確信した。
もう1点気がついたこと。新井先生は5年間に及ぶ菅原さんに対する自分の指導(しかもゼミ生は彼一人だったとのこと)を振り返ったとき、結局それは「(自分の指導方法に対する)自己満足に過ぎません」「25年を超える自分の指導スタイルはなんだったんだろうと反省」していることだ。RSTという成功例を踏まえているにせよ、この姿勢は素晴らしいと思った。 

(2)3年前の今日
古本の売買は「残す意思」の連鎖である  岡崎武志さん(書評家)
(「天声人語」2018年10月14日付朝日新聞

(3)4年前の今日
わくわくするようなことはたいてい寄り道の途中で起こるものだ。
(『古本の時間内堀弘 (晶文社)p32)

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