彼女が言っていたのは「幸せのツボ」だったか、「幸せのポイント」だったか、「ハピネスポイント」だったか。酔っていたし、もう2日も立っているのでよく覚えていないんですが・・・
翻訳祭後のパーティ(懇親会)はほとんど翻訳の話をすることはなく、やれ「UさんとMさんがくっついた」とか、
「キューピットは俺様だ」とか、
子どもの受験の話とか、
マラソンの話とか・・・
そういう下世話な話題に終始しながら飲んだくれていたんだけど、その一つが我が家のある人の誕生日前後に起きた犬も食わぬ喧嘩の話となったときに、Yさんが僕に言ったのだ。
「スズキさん、相手の『幸せのツボ』を押してあげなきゃ駄目よ、夫婦だって他人なんだから」「は?」
「『幸せのツボ』は人によって違うのよ。『自分がされたくないことを相手にしてはいけない』ってよく言うけど、あれ間違い。自分のツボを基準に押しても駄目。相手の『幸せのツボ』を見極めてちゃんと押してあげなきゃ」。
「例えば私は誕生日なんかだれも覚えていないウチに育ったので自分の誕生日なんてどうでもよいと思っているタイプ。スズキさんと同じ。でもうちの主人は違うの。小さい頃から誕生日になると祝ってもらって『よかったねよかったね』ってちやほやされるわけ。だから大人になっても祝ってもらいたいのよ・・・主人にとっては誕生日はとっても大事なわけ・・・
「実は今日は主人の誕生日。そのことを私はわかっているから、誕生日なんて私にはどうでもよいことなんだけど、主人に取って大事だから私は主人の『幸せのツボ』を押してあげるの。今日は出張でこっちに来ちゃったから昨日の晩も今朝も家に電話したら主人はとても喜んでくれたのよ」「・・・」
「スズキさんもおんなじよ。奥さんの『幸せのツボ』を押してあげなさい」。
私にとって今年の翻訳祭での最大の収穫だったかもしれない。
ありがとうございました。Yさん。