金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

日本語ネイティブ・スピーカーの判定方法(2012年11月)

JATでVagueness of the term "native speaker"というタイトルの書き込みが始まって思うところがあり私も投稿しました。

元々投稿した文案は推敲もせず一気に書いたので誤植があり、それを若干訂正したものを以下に再掲します。

私がもし翻訳会社の社員あるいはソースクライアントの翻訳担当で、英日(英語→日本語)については「日本語のネイティブ・スピーカーを採用せよ」と命令されたら、次の試験を応募者に課すと思います。なお解答用紙には受験番号のみを記載させ、もし文中に自分のことを名前で書かなければならない場合はかならず「山田晴美」(性別は問わない)という名前を使うように指定する。
1.漢字検定3級の試験(1時間)。ただしオフサイトで受験する場合は2回分の試験を1時間で解いてもらう。
2.日本で一般的に「履歴書」と呼ばれている文書の中で、学歴、職歴以外で問われている項目を思い浮かべ、自分で設定し回答する。ただしそれぞれの回答にあたっては具体的な事例を挙げること。例えば「自分の長所」を設定し、もしその答えが「我慢強い所」だと思った場合には自分が我慢強いと思う原因となった具体的な事件や経験を書いてもらう)。なお回答の形式は、日本で一般的に「履歴書」で期待されている文体を使うこと(30分)。
3.「昨日10年ぶりに町でバッタリ会ってメールアドレスを交換した中学時代の親友」に近況を伝えるメールの文案を書いてもらう。内容は事実でも虚構でもかまわない(30分)。
4.「高校時代の恩師」に5年ぶりに手紙を書き、近況を伝えた上で今度外国の大学に留学するので推薦状を書いてもらいたい旨の手紙を書いてもらう。内容は事実でも虚構でもかまわない(1時間)。
なおオンサイトとオフサイトの試験時間は同じ。違いは1のみ。
以上3時間の試験を課して答案を読み、自然な語彙と言い回しで「自然な日本語を書ける」と判定した場合には、生まれ、人種、性別、育った環境とは無関係に「日本語のネイティブ・スピーカーと見なす」こととし、次に英語力の試験を課すと思います。