「お父さん、ありがとうね」
先ほどリフォーム業者の方が帰ると、応対していた妻が私の部屋に来ていきなりこう言った。日頃、叱られても改まって褒められることがあまりない僕はうろたえた。一体何があったのだ?
実は我が家は今度トイレを交換することになった。今のトイレを購入して据え付けたのは、我が家が大がかりなリフォームをした2008年の11月と記録にある。今から振り返るとリーマンショックの直後で、トイレ、浴室、キッチンと流し台、和室の窓・・・あれだけの大がかりなリフォームをとよくできたなあと思うけれども、まあ事実は事実だ。
で、ここ数カ月でウォシュレットの調子があまりよくない。6年ほど前に専門業者に来てもらってトイレの解体掃除をしてもらった時に「もう部品もないので、次おかしくなったら購入してください」と言われていたこともあるし、「交換しようか」ということになった。
せっかくだから14年前のリフォーム業者に・・・連絡すると来てくれたのは、何と14年前の担当者。こりゃ僕も出るまでもないなあと思って妻に任せていたのだが・・・。
「じゃあ、こんな具合で見積もりを出しますね」という段になって担当者のYさんがこう漏らしたというのだ。
「それにしてもよく持ちましたね。我が家は5年で交換しました」。
「お父さん、6年前の掃除業者の人が来てくれて以来、ほとんど毎日トイレ掃除してくれたでしょ。たぶんそれがこれだけ持った理由だと思う」。
僕の掃除と言ってもたいしたことはしていない。タイルと便座の周囲、床を一通り磨き、便器内をブラシでこすり、ノズルを出して専門液で洗い、便座を持ち上げてタイルと便座の間を拭く・・・これだけだ。10分ぐらいだと思う。ただ、「あの日」、つまり清掃業者の人が清掃している様子を見ていてトイレの汚れ方にショックを受けた6年前以来ずっと、「せめて素人にできる場所だけは・・・・」と旅行で1年に1~2度家を空けた時以外は毎日掃除してきたことは事実なのだ(実際には業者の人にしかできないカ所がいくつかあるので、数年おきに業者に頼むのがよいとその時も言われました)。
朝のトイレ掃除は、始めて見ると気分がリフレッシュするのでずっと続けてきたけれども、まさかこの事でトイレの持ちがよくなり、相方からほめられようとは・・・
とは思ったが、やっぱり叱られるより感謝される方が嬉しいものです。