(1)2020年9月26日
① 私たちは萎縮の海に「率先して溺れている」のではないか。
(鷲田清一「折々のことば」2020年9月26日付朝日新聞)
② (ブラック・ライブズ・マターという運動は)暴動や掠奪を煽っているのではなく、むしろ、積年の人種差別に対する怒りや憤りに、社会活動や政治運動としての出口を用意し、知性を与えている。
(後藤正文の朝からロック「暴動・掠奪許せぬなら」2020年9月23日付朝日新聞)
*①も②も、間違っていると思う社会の動きに声を上げたり何らかの形で関わったりしていこうとしないと、世の中は暴力的な為政者の都合のよい方向に流れてしまうことへの警告。残念ながら、同調圧力の高い日本では特にこれが当てはまる。
(2) 2019年9月26日
③ 働き手や企業にとっては、何が問題ですか。
「最大の問題は仕事の消失です。仕事はロボット、自動運転車などに奪われる。新たな職業は生まれます。問題は、仕事の絶対量の不足ではなく、自らを再訓練できるかです。例えばバス運転手が、自動運転車のせいで仕事を失ったとします。車のデザインやソフト作成の仕事はある。では、40歳の運転手をソフト開発者に再訓練できるでしょうか」
(「AIが支配する社会」 ヘブライ大学教授/歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリさん 9月21日付朝日新聞)
④ たしかに技術の変化が、ある種の仕事を消滅させることはまちがいない。だがありがたいことに、雇用そのものを消滅させることはない。……もちろん、技術や経済情勢の変化で深刻な影響を受ける労働者には、何らかの公共政策で支援を提供する必要がある。となれば、こうした突然の変化は、短期的には社会にとってコストを生じさせる。
……(しかし)よく聞いてほしい……雇用を創出するために労働時間を減らすべきだとか、定年を早めるべきだとか、移民の流入を阻止すべきだとか、保護貿易を行うべきだといった主張は、理論的にも実証的にも根拠がない。
(「労働時間の短縮は間違いだ」ジャン・ティロール著『良き社会のための経済学』村井章子訳、日本経済新聞社)P290
https://www.amazon.co.jp/dp/4532357829
*大づかみで言うと同じ現象について、ほぼ正確に語っているのだと思いますが、視点の違い、立場の違いによって読む印象がかなり違うなと思ったので引用しました。自分でちゃんと読めるような基礎読解力をつけよという新井紀子さんの『AIに負けない子どもに育てる』(この本、恐らく売るために「子どもに・・・」と書いてあるけれど、我々大人こそ読むべきだと思います)も合わせて、今こそ、書かれたものを正確に読みながら、自分の視点を明確にして考えることが重要なのだなあと思った次第。
(3) 2018年9月26日
小説は作文とは違う、文章が書けさえすれば小説も書けるというわけではない、テノール歌手やフィギュアスケート選手と同様、小説家も一種の才能職なのだ。幾つかの先例が示す通り、音楽や美術、芸能の分野で活躍する人々の中にも、優れた小説を書く才能は間違いなく存在する、だからこそ編集者や出版社には、目先の話題性などに惑わされずに、その真の才能を見極める力が求められている。
(磯崎憲一郎 文芸時評「書きたい」人々 2018年9月26日付朝日新聞より)
(4) 2017年9月26日
国よりも党を重んじ党よりも身を重んずる人の群れかな 尾崎行雄
(2017年9月26日付朝日新聞「天声人語」より)