金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

データサイエンティスト就職市場(2019年9月時点)

最近「ハッカソン」というプログラマーのコンテストによく参加している息子(大4、数学科)が、昨日帰宅して言っていた話が面白かった。

・参加者20名。対象は学生。参加費は無料。1日または2日。

・自分と同じテーブルに座った他の4名は、全員関西だった。関西では(というか東京以外では)ハッカソンがあまり開催されないのでわざわざ上京してくるのだという。

・全員が独学。そしてデータサイエンス系の勉強をしている人(趣味を同じくする人)も自分の周囲にほとんどいないという点も共通していた。最近こそ大学にデータサイエンス学部をつくるという記事が出ているが、今の大学には教育体制が全く整っていないらしい(注1)。つまり教育方法がスタンダード化されておらず、これまで学んできた方法が人により全く異なるので、彼らと雑談していてもかなり勉強になったとのこと。データ・サイエンス業界は、まだ半分アングラの「オタク集団」の活動なのだ。

・参加費無料なのに、かなり豪勢なランチ(お弁当)が出るし、終わると懇親会があって、これも無料。どこに行っても広々とした、しかも綺麗なスペースで自由に交流できそうな、高級な雰囲気が漂っている。

・優勝賞金(とは言ってもアマゾンギフト券)が5万円と(学生にしては)高額。

要するに、現場はかなりの人材不足で、それを学んでいる学生を巡る環境はある意味「バブって」(バブルになって)いる(僕の印象)(注2)。

(注1)たとえばA大学の数学科情報数理系で学ぶのはあくまで理論で、ハッカソンで扱われるような実データの解析は「全くやっていない」。したがって大学の授業だけでハッカソンに参加しても「手も足も出ないはず」とのこと。
(注2)息子が某社から内定をもらった後、アルバイトで受けたインタビューには、各社の人事担当者が数名同席し、「どういう勉強をしてきたか?」「どういう採用プロセスだったのか」「面接はどう進み、何を聞かれたか?」を根掘り葉掘り尋ねられたとのこと。しかも時給は、一度目が1万円ほど。「またお願いします」で行ったら内容はほぼ同じで(ただし同席者は違う会社だった)、時給は2万円近くに上がった(ただし、すべてアマゾンギフト券)。

この分野の学生をどう採用するのかには各社も頭を悩ませている模様(何しろデータサイエンス学部がないのだから)。もちろん、インタビューは非公開。内定をもらった会社名は言わなくてよい。息子が内定をもらった会社の人事部にはそういう内容のインタビューを受けることを事前報告し、社名を出さないことを条件に了承を得ている。