金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

本の重み(2015年4月12日)

今朝は日経新聞の広告と朝日新聞の書評欄で『本で床は抜けるのか』(西牟田靖)をいうタイトルを見つけて予備校時代を思い出した。

私が浪人の時に予備校の先生をしていた方の中に今も現役は少なくとも二人いらっしゃる。一人は山本義隆さん(駿台予備校)で言わずと知れた元全共闘議長。もう一人が表三郎さん(京都駿台)。なぜか週に1度東京に出講していらして京都弁丸出しで当時の主任教授伊藤和夫さんをこき下ろしていた(ただやっている内容は構文重視だったと思う)。また当時はまだあった『高校英語研究』(研究社)にも出講されている先生だったが、この方も伊藤和夫、奥井潔と並んで通路と黒板の台(当時の駿台は生徒が良く見えるように黒板の周囲1メートルほどが舞台のように10センチほど高くなっていた)の周りにビッシリ生徒が座る人気講師だった。

その表先生が「諸君、大学に入ったら死ぬほど本を読みたまえ。僕は学生時代に本をため込みすぎて2階の下宿の床が抜けた」なんて話をして生徒をその気にさせていたのだ。

今寝しなに読む本の一冊が『工作舎物語 眠りたくなかった時代』(臼田 捷治)。毎日毎日が刺激的で眠るのが惜しかった書籍デザイナーたちの物語。偶然だが昨日朝テレビをつけたらその代表だった松岡正剛氏が「本を手に取って見る」ことの重要さを子どもたちに説いていた。ここで「見る」とは本を手に取って、重みを感じながらデザインや活字の並び、絵を眺めるということ。そしてそれを日常空間の中に置くことで自分の生活が豊かになるという話だった。

電子書籍からハード書籍(?)への若干の揺り戻しが起きているのかも、となんとなく本のにおいと重みを感じたようでちょっと嬉しくなった。

・・・というわけで、本日も皆さんにとって素晴らしい1日となりますように!!

『本で床は抜けるのか』
http://www.amazon.co.jp/dp/4860112679/

工作舎物語 眠りたくなかった時代』
http://www.amazon.co.jp/dp/4865281096/