金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「機械翻訳と人の翻訳」(その2)(2014年1月)

今訳している文章にこういうのがある(ちょっと変えた)

In Malaysia, the November CPI increased 2.9%.

これは機械翻訳ならどうなるだろう?

「マレーシアでは、11月のCPIは2.9%上昇しました」かな?

実はお客様にはルールがあって略語の場合は最も一般的な表記の次に全角丸括弧で略語を付けよとあった。ならそれを条件か何かでインプットして

「マレーシアでは、11月の消費者物価指数(CPI)は2.9%上昇しました」かな?

もしお客様からの指示が「新聞、雑誌等で一般的に使われている表記でお願いします」だったらどういう情報をインプットしておくのだろう?

もっと重要な問題。

この「2.9%」というのは、前月比なのか?前月比年率なのか、それとも前年同月比なのか?

正解は前年同月比なんですが、機械はどうやってそれを確認しに行くのだろう?
そこは人間の仕事なのかな?

さらに言っちゃうと、書き手の手が滑って、本来2.9%のところを、
In Malaysia, the November CPI increased 3.9%.
と誤った英語を書いていた場合は、機械はどう判断するのかしら?

これも人間の仕事なのかな?

こういう単純な文章でも単語への評価が必要となる。

もし、

「マレーシアでは、11月のCPIは2.9%上昇しました」

を良しとするお客様だったら、何かどこか勘違いをしているか、お客様が出された日本語の裏側にある英語の情報の評価をできるだけの知識がある場合だ。後者はほとんどないだろうから前者だろう。

tbest.hatenablog.com