金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「ビジネスに役立つ経済金融英語 第26回: 金融政策の枠組みの見直しについて(Changes in the Monetary Policy Framework)」のイントロダクション

実は私の本業はこちらでございまして・・・日銀の今回の政策表明は今後さまざまな箇所で引用される資料的価値の高いものだと思いますので、金融専門でない皆様も是非ご一読ください。

(余談)
記事中で「異次元緩和」が『ウォール・ストリート・ジャーナル』ではunorthodox monetary easing policies、『ジャパン・タイムズ』では unprecedented monetary easingと訳されていたと紹介しました。では、こうした英文記事を日本語に訳す場合には「異次元緩和」と訳すかと言われると違うのではないかと思います。私がこの記事の翻訳を担当した場合には、前者を「異例の金融政策」、後者を「前代未聞の金融緩和政策」とした上で「なお政府日銀はこれを『異次元緩和』と呼んだ」という訳注をつけたと思います。ただ、この記事の内容をベースとして(翻訳というよりも)日本人向けのまとめや要約する場合には、何の注釈もつけずに「異次元緩和」と書いたかも。

ちなみに「異次元緩和」は文字通り訳すと'the monetary easing policy in a different dimension'でしょうか。そしてこの言葉を活かして外国人に紹介するのであれば、

"The Japanese government and the Bank of Japan (namely, Mr. Kuroda, the governor at the time) termed this policy 'the monetary easing policy in a different dimension'."

とでも言ったでしょうが、そこまで注釈を入れる意味がないと英米の記者たちは判断したのかもしれません(これ、本文に書いてもよかったかも)。