金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「わすれても大丈夫、僕が覚えておくよ」:2018~2020年の今日(2月25日)に出会った言葉

(1)2020年2月25日
「わすれても大丈夫、僕が覚えておくよ」
(「天声人語」本日付朝日新聞
引用文は、日本福祉大学(愛知県御浜町)の学生が子ども向けに作った「にっぷく にこにこカルタ」という認知症への理解を深めるためのカルタからとのこと。僕は身近に認知症の方がいないので綺麗ごとの理解かもしれないが、もしそうなったら引用文のような気持ちで接したいと思った。

(2)2019年2月25日
これからは「組織に所属しているから賃金が生まれるという仕組みは斧でたたき割られる時代だ」と僕は考えます。今の年収で自分の仕事の価値を測るのではなく、「なぜこの仕事が自分とこの世に大切なのか」という本質を問うてみてください 磯田道史さん
(「仕事力 ― 人は、面白さで進化する」2月24日付朝日新聞

(3)2018年2月25日
群れたり、慣れたり、頼ったりすると迎合しなければなりません 堀文子 
・・・(中略)・・・・・だから、ほめられそうになると逃げると、日本画家は言う。
(2018年1月24日付朝日新聞「折々のことば」より)

スピーキングテストの価格

英語スピーキングテストのモニタリング(謝礼が出ます)に参加し、最後の回を受けてアンケートを提出した。この1カ月で受けた試験は、

①自分が受けているオンライン英会話教室のテスト(毎月1度追加費用なしで受験可。これまで3回受験) ー モニタリング対象ではない
②他のオンライン英会話教室のテスト ー モニタリング対象
③モニタリング実施企業が開発したテスト ー モニタリング対象
④新聞社Nが主催しているV ー モニタリング対象

と4種類の試験を受けたことになる。

試験の内容に関する評価や感想以外で感じた点が一つある。今の有料テスト、某新聞社によるVの価格が、他のスピーキングテストに比べていかにも高いということだ。4つのうち一つは僕の教室なので、いわば無料。サンプルとして受けたテストのうち一つは、他社のオンライン英会話のテストだったが、これもその学校の受講生は無料だろう。他社にもおそらく同じようなテストがあって、扱いは同じ(カリキュラムの一環として別途受講料は取らない)ではないか。それとモニタリング主催会社のテストとVだった。

自分の入っている教室が開発し昨年12月から導入したスピーキングテスト(月1回は無料)をこれまで3回受験して思うのは、毎月スピーキングテストを受けるのは非常によいシステムだということだ。前回、前々回と比べた自分の進捗度がわかるし、勉強の意欲につながる。そうした時に、毎月受ける試験の値段としていくらが適正なのだろう?

いずれもAI採点なので開発費がかかっているのだろうが、これだけ無料(というか英会話教室の付録)のテストがあると、単体の試験(20分)で5500円は、消費者の立場からするとやはり高いというのが正直な感想だ。もちろんテストによって内容に差はあり、Vはかなり優れているとは思うが、他の5倍以上(僕の入っているオンライン教室のテストを有料で受講すると1回1000円)はあまりに高い。

「インターネットの普及によって最も盛大に失われたのは「なにもしない」時間だ」2016~2021年2月21日に出会った言葉

(1)2021年の今日
インターネットの普及によって最も盛大に失われたのは「なにもしない」時間だということだよ。
小田嶋隆著、武田砂鉄撰『災間の唄』(株式会社サイゾー

(2)2020年の今日
“No One is above the Law.”
ペロシ下院議長、他)
トランプ大統領の弾劾裁判中、主に民主党の議員の口から何度となく出た言葉。トランプさんはまんまと無罪を勝ち取り、今は好き勝手なことを大っぴらにやり始めました。僕が今日これを引用したのは、アメリカというよりも最近の日本での国会のやり取りを見ていてつくづく絶望したから。日本はもはや法治国家ではない・・・でもあきらめきれんなあ、自分のためというよりも(どうせ還暦だし-)自分の子どもたちや、孫たち(まだいませんけど)のために。

(3)2019年の今日
人々は自分のかわりに働いてくれる道具ではなく、自分とともに働いてくれる新しい道具を必要としている  イヴァン・イリイチ(思想家)
(「折々のことば」 2月18日付朝日新聞

(4)2018年の今日
本来、何かを書くという行為には他人を不快にさせたり、傷づけたりする可能性が含まれている。
(「後藤正文の朝からロック ― 考えたい 表現する責任」本日付朝日新聞より)

(5)2016年の今日
太田さんが教えてくれたのは、字幕翻訳だけではなかった。太田さんは仕事の質と速度に高いプライドを持っており、校正での直しが少なくなるよう、しばしば寝食を削ってでも納得のいくレベルまで突き詰めた。来る仕事は基本的に拒まないため、週休はほぼゼロ。私が「週1日の休みは確保したい」と口走ったとき、「そういう字幕屋がいるのか、私は知らないな。ましてや新人で」と突き放された。
 太田さんにかけられた言葉以上に、私は太田さんの姿勢から、フリーで仕事する者のプロ意識を学んだ。それなしでは、仕事相手からの信頼も得られず、何よりも自信を持てず、孤独な作業に耐えられなくなって、つぶれていくしかなくなるもの。それが自分を律するプロ意識だった。言葉を書く仕事の職業倫理と言い換えてもいい。自由業を営む者は、それを個人的な基準で作らねばらならない。
  この厳しい姿勢は、私が作家となってから命綱となった。おかげで今に至るまで、書き続けていられる。
  私にとって太田さんは真の師匠だった。実際に私は、太田さんを「師匠」と呼ぶようになった。
師匠の教えは、以後も止まらない。(引用終わり)
(「字幕屋の師匠」星野智幸 日本経済新聞2016年2月21日)
ここで「太田さん」とは、字幕翻訳家の太田直子さん。本年1月10日にお亡くなりになったそうです。
今日も頑張ろう。

「日本語先行」になったとき、他(オンライン英会話5カ月目の感想)

(1)講師と英語で話していて、先に日本語が思いつく、言い換えれば頭が突然「日本語先行」になってしむことがある。するとそれまでスラスラと英語で考えていたはずの「しゃべり」が突如しどろもどろになる。

冷静に振り返ると、日本にしかないような物や、普段の僕の言語生活にはめったに出てこない物の名前や感情を表現しようとするときにそうなることが多いようだ。要するに僕の語彙が偏っているのだ。

先日もそういう瞬間があったので、とっさにキーボードで日本語を打って英辞郎で検索て切り抜けたのだが、その時に検索結果が時間順に残っている(一番新しい検索語が一番上)ことに気がついた。レッスン後に復習できるのだ。

これはいいかも。

(2)僕の入っている学校は1コマ(30分)当たりだいたい50人ぐらいの先生から選べる。先生を選択するには、まず時間帯(1時間単位でも、特定の日の午前中、午後、夜といった6時間単位でも検索できる)を選び、その後に検索条件で絞り込む。

最初のうちは「大人が得意」「上級者が得意」を選んでいたのだが、今月からちょっと気分を変えて何の要件も加えずに「いいねの多い順」でソートして1番の人を選んだら本当に優秀だった(彼女は「上級者」、「大人」には引っかかってこなかった先生だ。
やっぱ人気講師は実力が違うと実感した次第。

「(メッセージ発見法については)ノウハウがないことを知るのが、ノウハウなのである」。2018年と2019年の2月17日に出会った言葉

(1)2019年の今日
メッセージ発見について言いうるのは、以上である。「ずいぶん簡単だな」と不満を持たれた読者が多いだろう。もしメッセージが8割の重要性をもつものなら、なぜ「メッセージの発見法」に本書の8割をさかないのか?
 これに対しては、「マニュアル的ノウハウがないから」と答えるしかない。ノウハウがないことを知るのが、ノウハウなのである。
(『超文章法』野口悠紀雄著、p38)

www.chuko.co.jp

(2)2018年の今日
さて商品名をどうするか。堤清二さんやデザイナーの田中一光さん、コピーライターの小池一子さんらが議論を重ねた。ノーブランドでは同業他社との差が打ち出せない。田中さんが突然、「無印良品だ」と言ったという。ノーブランドを日本語にしてみて浮かんだそうだ。良品はノーブランドの安かろう悪かろうのイメージを払拭する意味だ。・・・(中略)・・・
 無印良品の第1弾が西友の店頭に並んだのは80年12月。店内にこんなポスターが貼られた。「わけあって、安い。」。小池さんのコピーは秀逸だった。
(2018年2月16日付け日経新聞 松井忠三私の履歴書 ― 無印良品誕生 主婦の声で生まれた商品 ノーブランドの印象 払拭 」

www.nikkei.com

アマゾンの書評

アマゾン等の書評では、少なくとも次が明らかになっていることが必要だと思う。

①評者は自分でその本を買ったのか、著者または関係者から寄贈されたのか。あるいは寄贈され、かつ購入したか。

②評者は著者の個人的な知り合い(いわゆるお友だち)か。

③評者は著者あるいはその関係者から書評を依頼されたか。

④評者はその本を全部読んだのか。全部は読んでいないとしたらどこまで読んだのか。

①~③はメディアの読書欄では明らか。逆に新聞雑誌は、評者が自腹を切って購入したのであればそこを明示すれば面白いのかも。

④は、普通の書籍では暗黙のうちに当然とされているが、果たして参考書や問題集の場合はどうだろうか。「全部を勉強しきらなければ書評できない」というのはハードルが高すぎるのだとしたら、せめてどこまでは読んだぐらいは明らかにした方がよいと思う。

アマゾンがこれを実現するのは簡単だ。

投稿者に上記への質問にYes Noをチェック、あるいは簡単なコメント(「何分の1まで読んだ」等)を書いてもらい、それを開示するという投稿規定を定めればよいのだ。それだけで「さくら投稿」「誹謗中傷投稿」はかなり抑えられるのではないか。

ちなみにこうした情報開示は、証券アナリストと調査対象企業との関係においては当然の義務だし、英米の記事では取材対象との関係を明らかにするのは常識のはずである。

冷蔵庫は家の写し絵

「冷蔵庫って家の縮図だと思う」

今朝の朝食中に妻が言った。

「え、それって誰かが言ってたの?」

「あたしの持論・・・て言うか、家事をまじめにやっている人だったらだれでもわかっていると思う。

「冷蔵庫の中がきちんと整理されているお宅は、家の中がきれいに片付いているし、ただ雑然と並んでいたり、きちんと整理されてなかったり、古い食材が放置してあるようなお宅は、お客様を招いた時にどんなに表面を取り繕ってあっても、とっ散らかった家なのよ。見えないところは汚部屋な~んてこともあり得るような気がする」

「なるほど、『冷蔵庫は家の縮図』という仮説だな」

「何しろこの家(我が家)と実家、お義母さん(私の母)の家の3軒を見て確認済みだからね。それにあたしは「ウチ、”断捨離"しました!」ずっと見ているじゃない。間違いないと思う。仮説じゃなくて結論、事実だと思う…よい、悪いの問題じゃなくて。

冷蔵庫は嘘をつけないの」