金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「産みの苦しみー著書と訳書の違い(2015年10月)

昨日は朝からぶっ続けで書籍(予定通り11月に出ます)の2校ゲラの修正。昨日が締め切りで出版社からは受け取りに払いの宅配便の送り状をもらっていたのだが、腰を据えて取り組める最後の日が昨日だったので初校に引き続き昨日も自分で持っていくことに。2校なので修正したページに付箋を貼って持っていって・・・

「付箋を貼ってある所が修正したページなので」「あ~でも、これほとんど全ページなので付箋の必要なかったですねえ」確かに。気になり始めると切りがないのでどこかで踏ん切りをつけないと、てな感じです。チェックしていたら4ページ分ないことが判明。帰宅して見たら机の下に落ちていたので先ほどスキャンして送ったところ。あと本日午前中に参考文献リストを送って終わりです。やるべきことは全部やったとは思う。今朝の朝日新聞「売れぬ本『図書館が一因』」。大手出版社と有名作家が出版後1年間は図書館に置かないよう申し入れるとの記事。図書館で貸し出されている分本が売れていないというのが出版社側の言い分らしい。

僕のように売れない翻訳者の場合、「図書館に置いてもらえる」というのは何か世の中に残したような気分になって嬉しいものですが、売れっ子は違うんだなあと正直思いました。Youtubeにせっせとパフォーマンスを投稿する歌手や芸人と自分の出た映像を削除依頼する人との違いに似ているかも。

来週月曜日に全部の作業が終わり、あとは出版ということだそうです。

構想から3年3カ月。ここには書けないスッタモンダもあった。かけた時間は翻訳書の2.5~3倍ぐらいかな。翻訳書と違うのは、そもそもの本の成り立ちを考えなければならない「生みの苦しみ」でした。書き手サイドからいえばそれだけのコストをかけているんだけど読者の皆様には関係ないもんね。想定読者がかなり絞られた地味な本(しかも高い)なのでどうかなあ。細く長く売れ続けてくれるといいのだけれど。

(後記)『金融英語の基礎と応用』出版1カ月前の書き込みです。地味な本が細々と、現在8刷。ようやく実売ベースで5000部と、この手の本としてはヒット作とのこと。ありがたいです(2021年10月29日記)。

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