金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

飛田 茂雄著『翻訳の技法―英文翻訳を志すあなたに』(研究社出版 1997年)

本書は、中嶋彩佳「カズオ・イシグロの小説における翻訳の名残り」『ユリイカ』2017年12月号特集「カズオ・イシグロの世界」所収(P77)の論文の参考文献に載っていた。

図書館で借りて最初の20ページぐらいを読み、買おうと決意した。これから本格的に読み込んで行きますが期待感十分です。なお。本書はその性格上、「買ったけど途中まで読んで挫折した」人が多い模様で、私が買った送料込み351円の中古本は、ほんの少し書き込みがある程度でほとんど新品に近い。

著者の飛田茂雄さんは『浮き世の画家』の翻訳者。私も日々素晴らしい訳文に感動しながら勉強しているが、何とこの翻訳にケチがをつけた(別宮貞徳さんによると「的外れの酷評」)方がいらっしゃったようで、別宮さんは飛田さんの翻訳を高く評価しつつ、返す刀でその論者の翻訳をけちょんけちょんにけなしています(「しどろもどろのアマチュア訳」『裏返し文章読本』)。

ちなみに『浮き世の画家』早川文庫版の編集担当者は金子靖先生(研究社の編集者で青山ブックセンターで文芸翻訳講座をご担当)。「訳者あとがき」の後ろに付記として文章を寄せておられます)。

*なお、この手の本の場合は読み手によって当たり外れがあると思いますので、興味を持たれた方はすぐに購入するのではなく、まず図書館で予約し、手にとって買う、買わないをお決めになることを強くお勧めします。


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