金融翻訳者の日記

自営業者として独立して10数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

翻訳会社に日英翻訳を発注した話

某ソースクライアントから先週発注いただいたのだが、お願いしようと思っていたネイティブ担当者が二人とも都合がつかず、やむなく普段つきあいのある翻訳会社に発注した(お客様にはその旨連絡しご了解を得ている)。

 

次は私の発注したメールから。


(以下引用)

発注しましたのは外国人投資家向けの役員スピーチの原稿ですが、いかにも日本的な表現がちりばめられています。

ネイティブから見たら「こんなこと言っても外人投資家にはわからない」「こんな言い方したら却って逆効果」「言わない方がよい」「(同じことを言いたいなら)こう言ったほうがよい」「述べる順番を変えた方がよい」という点があれば、そっちの表現を採用してかまわないとお伝え下さい(ただしその場合はコメントが必要です)。

以上よろしくお願い申し上げます。
(引用終わり)

 

事前にかなり条件をつけたのに加え、PM担当者に、品質管理の質は私が翻訳者として納品する場合の英和並みか?と尋ねたところ「同じです」とのこと。この会社の品質管理はかなり徹底していてPMレベルで少しでもわからないことがあると「質問」としてなかなか鋭い所を突いてくる(私の方からどんな細かいことでも、ちょっとでも腑に落ちない点があれば尋ねてくれとお願いしているのも効いているのかもしれない)。あれをやってくれるのなら安心だ。

さらに、訳者の国籍を念のため確認(発注段階で、米国人最優先、次に英国人、次にその他と指定してあった)。「日本在住のアメリカ人です」。一昨日の夕方に納品された。私からお客様への締め切りは翌日(つまり昨日)である。すぐに電話をして、「明日(つまり昨日)の午前中は担当翻訳者は私の質問に答えられる時間があるか?」「確認します」「担当アメリカ人がつかまらなかった場合、ネイティブ担当者は社内にいるか?」「大丈夫です。当社の常駐はアメリカ人です」とここまでを準備して昨日の朝からできあがった英文を見る。

相当できが良い。

こちらの要請どおり、極めて日本的な浪花節調の日本語(原文)が、コンテンツはほぼ変わらずに(もちろん色々な語が加わっている)格調高い英文になっている。いわゆる直訳でない、追加削除場所変更部分にはきちんとコメントが日本語で入っている(これは品質管理の過程で翻訳者に確認の上PMが書いていたことが後で判明)。一通り見て、私のコメントを加え、不要と判断したコメントを削除し、さらに翻訳担当者への質問をいくつか書いて昨日午前中に送付。正午に返答で無事納品した。

営業担当者にもPMにも連絡し「いや~良かった」。「翻訳者の方にも発注者が喜んでいた、感動していたと伝えてほしい」と依頼する。ついでに「この翻訳者逃しちゃだめだと思うよ」とも。誉めるも叱るも効果(影響)は3倍。こういうの大事なので意識している。あれだけ対応してくれるのだったら人繰りがつかないときには、少々高いけれども使えると思った(僕サイドの作業も省力化できるので)。同時に翻訳者としてこの会社を信頼できると確信した。