今月の私の履歴書は、ジェラルド・カーティス氏。題字も日本で書いており、おそらく原稿も日本語で書いているのだと思いますが、ちょっと気になる表現があった。
「60年前、私は初めて日本の地を踏み、東京で丸1年、日本語の習得に汗を流した」
この文脈での「汗を流した」は正しいけれどもちょっと古いかもしれない。今の日本人なら、「日本語の習得に没頭した」「日本語の習得に懸命に取り組んだ」「日本語の習得に全力を注いだ」と表現するところではないかな。
そう言えば政治家がよく「下働きをする」とか「裏方に徹する」という意味で「汗を流す」という言い方をする。カーチス教授は政治学者だから、そちらの日本語に引っ張られたのかもしれない。
先日の翻訳教室で金子靖先生が、日本人が生成AIに書かせた英語、あるいはアメリカ人が生成AIに書かせた日本語は、正しいけれどもネイティブから見るとちょっと違和感があるはず、という点を忘れるべきではないと指摘されていました、「こういうことなのかな?」と一瞬思った次第(カーチス先生がAIを使っていると思ったという意味ではありません。あえて言うと「非ネイティブの限界」だろうか)。
いずれにせよ、先月に引き続き面白くなりそうな1カ月です。