金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

「大企業病」に関する2題(2016年9月)

大企業病:その1)

某上場企業との取引でのミニマムチャージを2万円(消費税別)としている。2年ぐらい前からそうしている。

2万1600円の先方の過払い(当社のもらいすぎ)の疑いを7月に見つけたのは相方。「お父さん、2万1600円多すぎのような気がする」。受注記録とメールを総てひっくり返すが見当たらない。念のため8月の入金タイミングを待って確信。

原因は想像がついた。3月に当社から出した請求書の費目が間違っていることにこちらが気づき、謝罪して対応を伺ったところ、「正しい請求書をもう一度出してくれ」と言われて出した。

これがダブルカウントされたのではないか?

先方の担当者J女史からメール「よろしくご対応のほどお願いします」
そうじゃないでしょ。同社の手続きに従うから対応してほしいとお願いしたのだ、と丁寧にメール。

J女史「対応させていただきます」

3週間なしのつぶて。2週間前別件で電話の折、「あれ、どうなりました?」「あれ?スミマセーン。鈴木さんにお振込口座をお知らせするんでしたっけ?」。

「そうではなくて、貴社のような大会社ならこういう場合の規程があるはずだから、その手続きに従った方がよいのではないですか?」と丁寧に言う。「そうですよねー。スミマセン」

で1週間経過。J女史から翻訳依頼来る。

「それはお引き受けしますが、先日の2万1600円どうします?今回のから差し引きます?」「あ、そうしてもらえます~?」

あんたは馬鹿か?・・・と言いたいのをグッとこらえて、

「いや、僕はいいんですけど、貴社の手続き上大丈夫ですか?いいですか、貴社はメールのやりとりの後に、見積書、発注書、請け書、納品書、請求書を全部紙で残している会社サンですよ。それでは社内で通らないんじゃないですか?」「あ、そうですよねー。そうします」

で10日ほどたった昨日。J女史の部下のUさんから電話。Uさんは新婚ホヤホヤで、先週新婚旅行に行っていたはずの優秀な新人である。

「Jにお知らせいただいた件、お待たせしまして申し訳ありません。つきましてはご返金いただく件ですが、担当部署に連絡しなければならない関係上、明日または明後日にお振り込みいただきたいのですがよろしいでしょうか?」「別にいいですけど・・・」
「で、いつお振り込みいただけるでしょうか?」
「では明日」

なんで向こうのミスなのにこっちがあっちの都合に合わせなきゃならんのかな~と思っているところにまた電話。

「Uでございます。申し訳ございません。お振り込み明日とのことでございましたが、こちらの部長名で請求書を明日発行することになりましたので、誠に勝手ながら明後日にお振り込みいただきたくおねがいしたいのですが」

「はいはい、わかりました。ちなみに振込手数料は差し引きますよ、いいですね?」
「え、そ、それは・・・」とひるむU女史。
「だってそっちのミスでしょ。何で振り込み日まで指定されて、振り込み料こっちが負担しなきゃなんないの?」
「あの、お振り込みの際は、振り込み元が振込料金をご負担いただくのが当社の規定、また社会通念でございまして・・・」
と言われたところでさすがにこちらも堪忍袋の緒が切れた。

「いいかい、Uさん、そりゃないだろう。元々の経緯はこうだ(とこれまでの経緯を説明)・・・君が逆の立場だったらどう思う?おかしいだろ?」
「は、はい、確かに・・・オカシイと思います」
「こういうのをね、出入り業者いじめって言うんだよ。僕が怒るのもわかるだろ?しかもミスをしたのは君の上司だ。自分のミスの尻ぬぐいをさせてJさんは何やってんだ?ふざけるのもいい加減にしてくれよ」
「少々お待ちを・・・」

ここで初めてJさんが登場。僕が経緯をあらためて説明して、ようやく、初めて自分のミスを認めた。「・・・そうでした。本当に申し訳ありません」。

「あのさ、Uさんだって可愛そうだろ。今週新婚旅行から帰ってきたらこんなくだらない案件の処理を押しつけられて・・・」

ホントこの会社、大企業病にかかってるのかJ女史が無能無責任なのか、両方なのか。
この会社との取引が今後どうなるかは分かりませんが、久しぶりに腹が立った案件ということで。

大企業病:その2)
2年ほど前、某社の担当者に年賀状を送った。1月の下旬にそのまま返送されてきた。葉書の表面にはこうあった。

「この者は、他部署に転勤となりました」

しかも、これはスタンプだったんだ。