そろそろパソコンを買い換えなければ行けないタイミングで、仕事にもやや余裕ができたのでそろそろケーズデンキに行こうかな、と思っていた3日ほど前に営業電話があった。
「H社の法人営業部です・・・」普通は断るところだが魔が差した(?)
「僕個人事業なので1台しか買わないよ」「大丈夫です。ウチは部品1個から・・・」「だけど僕はどうやってあなたが本当にH社からかけてきて、あなたがその社員って分かるわけ・・・?」「それは・・・」
なーんて会話から始まって「本当に安いんです。比較してください」「僕はパソコンのド素人だから、僕でもわかるように、今のパソコンとの比較表作ってくれる」「もちろんです!」
「これじゃ比較できないだろ」「スミマセン、すぐ直します」「ここ、どうして違うの?」「実はそれは今欠品なので・・・」「あ、今何て言った?何でそれをもっと早く言わないの。欠品だということを隠して俺に質の悪いの売りつけようとしたな?それってミスリーディングじゃん」「す、スミマセン。言い方間違えました。あとで説明するつもりで」「相手が俺で良かったな。やり直し!」「はい!!!」
その後3日間、10数通のメールのやり取り、見積書の提示、5回に渡る質問と値引き交渉。多分新人だ。ただ何しろ熱心な営業ウーマンで僕の質問にいちいち細かく調べて対応してくれる。こちらの無謀な要求に食いついてくる・・・・情が移りますがね。
僕にも新人営業マンだった時代があるんです。
30年前、私の勤めていたN証券の営業課長M氏の自宅の押し入れには3セット(1セット10~30巻あるもの)の百科事典でいっぱいだと言われていた。家を訪ねると使いもしない健康器具やら何に使うのかわからない道具が置いてある。奥さん曰く「しようがないのよ、この人断れないから・・・」自分が営業マンで厳しい生活を送っているので、つい他社の営業マンには「甘く」なっちゃうわけ。僕は営業マンは新人時代の2年間しか経験していないけど、あらゆるプライドをズタズタにされるような経験は何度かした。
・・・彼女とのやり取りの中で、そういう昔のころを思い出したのかも。ただ、もちろん仕事で使うツールなので詰めるべき点は全部詰めた。会ったことないけれど彼女を信用することにしたんです。
昨晩18時ぐらい。午後から3回のメールと電話応答があった後、「もう良い点も悪い点もすべて言ったね?」「はい、ぜーんぶ言いました」「後で『こんなはずじゃなかった』ってぇことはないね?」「はい、ありません・・・ないと思います」「・・・わかった。ノートパソコン1台とモバイル(軽いパソコン)1台で22万円。君がよほど僕の信頼を裏切ることがない限り月曜日の午前中に発注するから今月の数字として読んでよし」「有り難うございます!!!。月曜日朝一番で最終の見積書お送りします」・・・てなことになっちゃった。
昨日の午後は元上司の勤め先(金融関連)を訪問。新しい本が出ると持っていき、「鈴木の訳す本はむずかしいからな~」と言いながら1冊お付き合いしていただけるNさんなのだが、『金融英語の基礎と応用』はご自分で1冊すでに購入済みで、さらに10冊自腹で購入、国際部門スタッフに配ってくれたとのこと。「お前、あれはいいぞ」。帰宅したら別の知り合い(非金融会社)の社長からメール。この方もいつも1冊お付き合いで買っていただける方なのだが「使える。10冊買っといた。今度飲みに行こう」努力をすれば報われるのかな。
僕は僕で、今度生まれて初めて、会ったこともない営業マンから20万超のパソコンを買うことにする。拙いセールストークで要領も悪く詰めも甘いが(だいたい、こっちがセールストーク教えちゃってんだから・・・)、彼女の人間を信用する。彼女の努力に報いることにする。