金融翻訳者の日記/A Translator's Ledger

自営業者として独立して十数年の翻訳者が綴る日々の活動記録と雑感。

地元の書店に直接営業する

 

証券会社の社員やっていたので飛び込み営業には抵抗はないが、そうは言っても書籍営業の作法はあるだろうとH書房の編集者に2日ほど前に聞いてみた。

「営業の者も付いていった方がよいので今しばらくお待ち下さい」

じぇじぇじぇ、そんな大事(おおごと)じゃないのに・・・と思っていたら昨日「1日で10数冊配本されるのでしばらく身動きがとれなさそうですので、鈴木さんお一人でお願いできますでしょうか?店長さんのお名前はMさんです」と拍子抜けのメール。まあそんなもんだろう。西葛西だもん。

完全な飛び込みもどうかと思って電話をしてみる(少しドキドキしました)。Mさんが直接出たので「実は私翻訳者の鈴木立哉と申しまして、地元の西葛西に住んでいるのですが、実は明日H書房さんから訳書が出るので、地元ということで一言ご挨拶に・・・」統一地方選挙のお願いみたいだなあと思いながら話す。「あ~そうですか・・・ええと、書名は?」「『ブレイクアウトネーションズ』と言いまして・・・」「え~ブレイクアウト・・・ちょっと待って下さいね・・・・(ゴソゴソチェックしている。なかなかわからないらしい。)「あ、持っていきますんで、どうせ歩いて10分ですから」「そうですか~。じゃあお待ちしています」てな仕儀になり、H書房に電話。「・・・ということになって今から行ってきます」「どうもありがとうございます」「ところで書店への営業に本を持っていく必要ありますか?」「そうですねえ・・・大丈夫じゃないかしら。配本されているはずですから」編集者のKさんご自分では営業の経験あまりないみたい。

とりあえず1冊と、2年前に出た日経と朝日の書評を鞄に入れ、

「じゃ、行ってくるわ」「どこ行くの?」「B堂西葛西店に営業、じゃあね」「・・・ちょっちょちょっとお父さん、その格好で行くんですか?」「まずい?」「もー、みっともないから止めてよ。営業なのよ、営業。そんな格好じゃあ失礼じゃないの~」とその後15分ぐらい服のコーディネートをされて出向いたわけです。

店の入り口で名刺を差し出すとレジの奥にいた店長のMさんが親切に対応してくださいました。「お電話の後調べたんですが、どうもウチには配本されてないみたいです」すかさず書評等を見せて本の説明をする。「・・・というわけでかなり評判もよかったので一つよろしくお願いします」「なるほど、早速注文しておきましょう」「お願いします」とここで書店に本を置くのもどうかと思いつつ「もしよろしければこれ1冊、どうぞ?」「え?よろしいんですか・・・?ありがとうございます。読ませていただきます」考えてみれば書店員が勝手に本を持ち出したら在庫管理できないものね。

というわけで配本予定のない所が注文してくれることになったのは大きな前進だろう。実は十数冊目にして自分の本を書店に売り込みに行ったのはこれが初めて。マジでドキドキした。